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第25話 古代兵器を復元してみた。


 俺は『極滅の黒竜』(ただし仮想現実)を倒したわけだが、これも経験値としてカウントされるらしい。

 頭の中にいつもの声が聞こえる。


『レベルが39になりました。【異世界人】内サブスキル【エネミーレーダー】が解放されます。……【オートマッピング】との連携完了しました』


【エネミーレーダー】。

 これは俺から一定距離内にいる魔物を、【オートマッピング】の脳内地図に赤い点で表示してくれるスキルのようだ。

 索敵範囲はレベルに比例し、現在は390mとなっている。

 これなら「気付いたら魔物の群れに囲まれてました」みたいな事態は避けられるだろう。

 とてもありがたい。

 

 やがて周囲の風景が揺らぎ、仮想現実が解除される。

 

 現実世界に戻ってみれば、目の前ではスライムがぴーぴーと泣いていた。


「うわあああああん! ごめんね、ごめんね、マスターさん! いきなり黒竜と戦うことになってビックリしたよね、ごめんなさいっ!」

「別に気にしてないさ。そっちだって、わざとやったわけじゃないんだろう?」


 たしか、大賢者メビウスとやらが記録映像に仕込みをしてたんだっけか。

 スライム自身も知らなかったようだし、ここで怒るのは筋違いというものだろう。


「うん……。ありがとう、マスターさんは優しいね」

「普通だよ。ところでひとつ訊きたいんだが、もう一回、黒竜と戦うことってできるか?」

「……え?」


 スライムが信じられないものを見るような視線を向けてくる。

 待て待て、勘違いするんじゃない。

 俺はべつにバトルマニアってわけじゃない。

 仮想空間で黒竜を倒してもレベルが上がるようなので、ここで経験値稼ぎをしておくのも悪くないと思ったのだ。


「ごめんね、マスターさん。さっきの仮想戦闘はマスターさんが勝つのを想定してなかったみたいで、データがめちゃくちゃに壊れちゃったんだ……」

「そうか、じゃあ仕方ないな」

 

 似たようなシチュエーションは古いゲームで見たことがある。

 強制敗北のイベント戦闘で勝ってしまった結果、ゲームがバグって進行不能になる、みたいな。

 まあ、1回だけでも経験値稼ぎができたのだから良しとしよう。

 

 さて。

 気分を切り替えて、【創造】の時間といこう。


 やりたいことは山ほどあるが、ひとつひとつ手を付けるか。

 まずは古代武器の復元だな。


 剣、槍、斧、弓、盾、鎧、銃らしき物体に、大砲などなど。

 いずれもボロボロに錆びている。

【鑑定】してみると、いずれも魔導石という素材をベースにしているようだ。

 

「なあ、魔導石ってどこで採れるんだ?」


 俺はすぐ隣のスライムに尋ねてみる。


「魔導石なら、採掘エリアで採れるはずだよ!」

「わかった。ちょっと行ってくる」


 俺は【遺跡掌握】を発動させ、鉱山エリアへワープする。

 鉱山エリアはかなり不思議な場所で、地下だというのに青い空と大きな山、そして草原が広がっている。

 空はただの映像らしいが、雲が流れてやけにリアルだ。

 

 鉱山のふもとには大きな建物があり、「こうざんじむしょ!」とへたっぴな字で看板が掲げられている。

 おそらく文字はスライムが書いたのだろう。

 中に入ると、メガネをかけた事務員風のスライムが応対してくれた。


「マスターさん、いらっしゃいませ! なにかごいりようですか!」

「魔導石を分けてほしいんだが、いいか?」

「魔導石なら裏の倉庫です! マスターさんなら特別サービスでとりほうだいだよ! やったね!」

「やったね」


 元気そうなスライムにつられて、つい、俺らしからぬことを口走ってしまった。

 それはともかく、裏手に回ると大きな木箱のなかに黒いキラキラとした鉱石が詰まっていた。

 魔導石だ。

 アイテムボックスに回収すると『魔導石×10』となっていた。


【創造】のレシピを確認すると、古代武器の復元にはそれなりの魔導石が必要らしい。

 古代武器ひとつあたり、魔導石がおよそ8個……といったところか

 少ないものは6個で済むが、多いものは12個となっている。


 悩みどころだな。

 もっと魔導石があればいいのだが、遺跡が再稼働したばかりなので仕方ない。

 時間が経てばもっと多くの魔導石が手に入るはずだ。


「とりあえず、ひとつくらいは復元してみるか」


 さて、何から手をつけようか。

 考え込んだとき、頭をよぎったのは『極滅の黒竜』のことだ。

 

 悪い予感ってのは当たるものだし、黒竜に遭遇してもいいように備えておこう。

 となれば、剣やら槍やらは後回しでいいな。

 黒竜への近接攻撃はヒキノの木剣で十分だ。


 弓も、ヒキノの木槍を投げればいい。


 問題は、投擲でも届かないほどの高さに黒竜がいる場合だ。

 超長距離での攻撃が可能なものといえば……やはり、大砲だろうか。


 頭のなかにレシピが浮かぶ。

  

『錆びた古代の大砲×1 + 魔導石×10 = 超大型魔導レーザー砲(試作型)×1』


 ちなみに「錆びた古代の大砲」はアイテムボックスに5つ存在する。

 1つくらいは復元に使ってもいいだろう。

【創造】を実行した。


『超大型魔導レーザー砲(試作型)

 説明:対「極滅の黒竜」を想定した古代兵器のひとつ。

    当時の最先端技術をふんだんに盛り込んでおり、開発チームの夢とロマンにあふれている。

    なお、必要な魔力があまりにも膨大すぎて実戦では使用されなかった。

 補足:本兵器を使用する場合、MP10000を一度に注ぎ込まねばならない。

    これは大賢者メビウス10人分の魔力に相当する

 付与効果:《射程延長A+》《命中補正B》《ドラゴンキラーB+》』


 ……なんだこれ。


 MP10000ってどうなんだ、MP10000って。

 実用性をゴミ箱にダンクシュートする姿勢は嫌いじゃないが、さすがに無茶苦茶すぎる。

 これはたしかに実戦じゃ使えないな。


 いや、待てよ。


 俺は自分のステータスを確認する。

 レベル39になったことで、最大MPも大きく上昇していた。


 現在値は――10500。


 おい。

 ギリギリ使えるじゃないか。

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。


MP上昇はこんな感じで行われています。

レベル1→10 1レベルごとにMP100上昇 よってレベル10でMP1900

レベル10→20 1レベルごとにMP200上昇 よってレベル20でMP3900

レベル20→30 1レベルごとにMP300上昇 よってレベル30でMP6900

レベル30→40 1レベルごとにMP400上昇 よってレベル39でMP10500


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