赫眼の剣士の日常
誤字脱字があったら、報告してもらえると嬉しいです。
「ねーねーレイド!次はどこ行くの?」
「次は君の保護者を探しに行くんだ」
俺はレイドの保護者を見つけるためにクランを回る。
クランと似たように、ギルドというものが存在する。
例えば冒険者ギルドは依頼を受けて、冒険者と依頼主の仲介をしたり、素材の売買を行う。クランも似たようなことをするのだが、クランはすでにそこで働くクランメンバーが存在する。冒険者ギルドには決まった冒険者が正式に滞在しているわけではないが、クランはクランメンバーが依頼を受けて、遂行する。
だから、基本的にクランに頼んだ方が信頼度が高い。クランが依頼を失敗したり放り投げたりすると、クランの評価が下がるからだ。
でも、クランの依頼料はなかなか高い所が多い。そのため冒険者ギルドもかなり利用されている。
彼女と会ったのは二ヶ月前、俺が依頼を受けてとある森に行ったところ、彼女は記憶喪失の状態で迷子になっていた。
「ほごしゃってなにー?」
「保護者っていうのはね、エルのお母さんとか、お父さんのことだよ」
「えー?じゃあエルのほごしゃはレイドだよ!」
小さい子は可愛いなぁ。純真無垢な笑顔に癒される。
「俺はあくまでエルのお友達だからさ、俺じゃあ保護者にならないんだ」
「エルのお父さんとお母さんが見つかったら、レイドはいなくなるの?」
「いなくならないよ。まあ今みたいには一緒にいられないけどね」
「いやだー!エルはレイドとずっといっしょ!」
エルが駄々をこねて足に絡んでくる。
「大丈夫、ずっと友達だから」
✕✕✕
俺達はエルを見つけた山の一番近くの街、エルドーレに着いた。
エルはあれからずっと粘っていたが、やがて疲れて寝てしまったのでその間に走ってエルドーレにたどり着いた。
エルドーレは平和な街だ。飢餓や争いがない。
だが、周りの森などに協力なモンスターや怪異が現れるので、クランやギルドの人達の強さはそこそこある。
俺はこの街で一番のクランに足を向ける。
大きさは地球の一軒家、それも二世帯住宅のような大きさだ。木造建築で風格がある。
「こんにちはー!レイドでーす!クラン長いますかー?」
ドアをノックして知り合いのクラン長を呼ぶ。
数秒して俺が見たことない人が現れた。
「すみません、クラン長と会う予定はあったでしょうか?」
「いや、全くありません」
「じゃあお引き取りください。クラン長は忙しいので」
取り次ぐ気もないようだ。どうしよう、アザゼルさんがそんなに忙しい人だとは思わなかった。
無理矢理入ったら捕まるよなぁ。
「わかりました。じゃあレイドが来たとだけお伝えください」
「・・・・・・わかりました」
そんな嫌な顔する?
✕✕✕
エルが起きたので、俺はエルを抱っこしてこの街で一番高い時計台の上のてっぺんに登っていた。
「レイドーなにしてるのー?」
「うーんとね、俺は女の人のおっぱいを見ているんだ」
「おっぱい?」
「そうだよ、あとお尻も見てる」
俺は自前の望遠鏡で道を歩く大きいおっぱいやお尻の持ち主を眺めていた。
これは小さい頃からの習慣だ。じいちゃんがよく俺を誘って俺にやらせていた。
「なんでレイドはおっぱい見てるの?」
「そうだなぁ、それを聞かれると答えがたくさん出てきて困るんだけど、エルにわかりやすく言うならそうだなぁ。俺達はご飯を食べるよね?」
「うん!」
「それと同じ」
「そうなんだ!レイドはおっぱいをたべているんだね!」
「エルって頭いいなぁ」
全くもってその通りだと思う。俺は妄想の中でおっぱいを食べているようなものだ。
「エルのおっぱいも食べる?」
「エルはないからいいよ。俺はある程度なきゃ駄目なんだ」
「えー!たべてよー!」
「絶対嫌だ」
✕✕✕
小一時間ほど時計台で眺めていると、アザゼルさんのクランから誰かが出てくる人影を見つけたのでそちらを詳しく見てみると、前にあったことがあるクランメンバーの一人、ヨイナさんを見つけた。
「ヨイナさんも強かったよなぁ。ヨイナさんにも頼もう。エル、ちょっと速いから目を瞑っているんだよ?日の領域、豪炎脚」
日の領域とは、自身の身体能力を上げるの同時に、炎を出すことも可能な能力。
太陽の力を使って日の領域は発動できる。だが夜に発動できないかと言われればそういうわけではなく、生まれてからずっと外に出ているレイドは、太陽のエネルギーは全て日の紋に貯められている。日の領域は小エネルギーで発動できるので、日中ずっと使ってもそれ以上に太陽のエネルギーが貯蓄され続ける。だから俺の太陽のエネルギーは果てしないほど貯まっている。
俺は見失う前に最速最短で距離を詰める。屋根に優しく飛び移り、人の間を縫って走る。
「ヨイナさん!こんにちは!」
「きゃあああ!何!レイド君!?」
「レイド速いー!」
「エル、目を開けていたのか?怖くなかったの?」
「怖くない!楽しかった!」
最近の子供は強いんだなぁ。あの速さにビビらないのは凄い。
「え、待ってレイド君子持ちだったの!?」
「違います、迷子のエルです」
「迷子?ああそうだったの。それにしても可愛い子ね、触ってもいいかしら?」
「おねえさん、可愛いね!」
「いやぁん!もうエルちゃんの方が二百倍可愛いよぉー!」
「ヨイナさん、一つ依頼を持ってきたんですけど」
「もしかしてこの子の保護者探し?」
「はい、アザゼルさんにも頼もうと思っているんですけど」
「そうねぇー」
ヨイナさんは腕を組んで何やら考え始めた。
「まあ無理じゃないけど、今は依頼がそこそこ溜まっていてね、やっぱりいくらレイド君だからって、そこは優遇できないな」
「そうですよね。今やこの街一のクランですもんね」
「そ、そう言われると照れるわね」
さて困ったなぁ。エルちゃんを助ける方法がまた限られてくる。
「わかりました、じゃあ今度は遊びに行きますね」
「ごめんね、でも楽しみにして待ってるわ」
✕✕✕
「そっかーアザゼルさん達は忙しいんだなぁ」
「レイドとはおおちがいだね!」
「全くもってその通りだよ」
でもどうしよう。冒険者ギルドには知り合いがいないし、怪異を専門に殺す怪滅師ギルドは怪異しか受け付けないしなぁ。
しょうがない、もう冒険者ギルドしかないか。
数分も歩けば、冒険者ギルドに着いた。
あまり粗暴な人がいないことを願う。まあ平和な街だからそんな人はいないと思うけど。
緊張しつつ冒険者ギルドのドアを開ける。
中は、結構殺気立っている。こんな中で依頼を申し込むのは勇気がいるなぁ。
「いらっしゃいませ!冒険者の登録でしょうか?それとも依頼の方でしょうか?」
あ、優しそうで美人な受付嬢がいた。なんか助かった気分。
「あ、依頼をしに来ました」
「ねぇーねぇーレイド!周りの人達怖い!」
その発言が、怖いんだよぉ。
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