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目覚め

「ねぇみんなこの後暇だよね」

「暇なのは確かだけど、なんか嫌な予感しかしないんだが」

今日は早い時間に終わったため、この後時間があるのは確かなのである。

「それで、フォル君どうしたの?」

「図書室に行こうよ」

「どうして」

「イリシアスを誘うときに聞いたんだ、図書室の噂話を」

楽しそうな笑顔で話を進めるフォルマンス

「私もそれには興味があるので賛成ですフォルマンス」

「ありがとう、イリシアス」

「それじゃあ行こうか、図書館に」


図書館には多くの本棚がそびえたっていた。

「ここが図書室か」

「大きいねぇ、それで噂話の内容はどんなものなの」

「その説明は私がします帆音、この図書館の地下に生徒は誰も足を踏み入れない場所があるようなのです。そこへたまに掃除をするために司書さんが足を踏み入れた時に話し声がしたそうなのです。恐る恐る覗いてみると、そこには本が散乱していているだけだったそうです。」

「それの何が怖いんだよ」

「礼紫、この図書館にまつわる言い伝えがただの噂話に花を添えているんですよ、ある魔導書がこの図書館の本に紛れ込んでいると、その魔導書は悪魔の召喚方法が書かれている本。そして皆は言うのですよ、これは悪魔たちの会議であったと、誰を食べるのか話し合ってたと」

「でもそれ、ただの噂話なんだろ、ほっといて寮に行きたいんだが」

「へぇー面白そうだね、それってどこから地下に行けばいいの」

「すぐそこからですよフォルマンス」

地下は上とは違い太陽光が入ってこず薄暗かった。

四人はイリシアスの案内の元、司書が声を聴いたとされる場所まで歩みを進めた。

「ただ本しかないじゃん」

そう言うと礼紫は近くにある本を手に取り表紙に目を向ける。赤色が目立った本だった。

本自体がふわっと発光したが礼紫はそれには気が付かなかった。

もともとは煌びやかなものだったのだろうか、ほとんどか剥がれ落ちているものの所々に金色の装飾の跡が目立つ。よく見てみると装飾の剥がれ落ちたあともわかり、豪華なものであったのだと連想させる。本を開いてみるとページが破れていなかったりと思いのほか状態がいいが字はかすれていて何と書いてあったのかはわかりそうもなかった。

「古い本ばかりなんだなここ」

「ここにある本はこの図書館ができた当初からあった本らしいのですよ礼紫」

「でも、特に何もなかったな」

「期待してたんだけどな」

「そんなにうまく見つからないと思うよ」


「ん?」

「どうしたの礼紫」

「いや、誰かに見られたような気がして・・・まぁ気のせいかな」

「それじゃあ戻るよ寮に」

そして彼らは図書室を後にした。


「これが寮の部屋か、普通だな」

「そうだね礼紫」

「フォルと二人部屋ってことか、少し手狭な気がするけど、二人なら十分だな」

寮の部屋には最低限の設備が整っていた。ベッドは部屋が手狭にならないようにだろうか、二段ベットだった。

「帆音とイリシアスは同じグループだけど女子は寮が違うからね」

女子寮は二つ隣に立っており、真ん中には食堂が設けられている。

「初めて親元出るからなちょっとわくわくするな、フォルと一緒だから修学旅行にでも来たみたいだな」

「修学旅行か、確かにあの時も同じ部屋だったしね一人足らないけど」

ひつぎのことか、ほかのやつはよく見るけど柩だけは学園に来てないみたいだしな」

「柩君貴族だしね、僕たち柩君と幼馴染だから仲が良かったから貴族らしく思えなかったけど」

「まぁ、あいつの家やしきだったからなぁ」

「確かに、二人よく執事のサーキンさんにつかまって怒られてたっけ」

「ほんと、あのじじぃには色々された」

「そもそもサーキンさんにいたずらしてたのきみたちじゃん」

「まぁそんなことより早く寝ようぜ、明日早いしさ」

「そうだね、まだまだ学園生活も始まったばかりだし慣れるまではそうしようか」

そして、彼らの一日が終わった。


本の上に二人座っていた。

「彼が来たね」

「嗚呼、ここまで来たよ」

「彼女に似ていたね」

「嗚呼、そっくりだった」

「彼のこと皆に知らせないとね」

「嗚呼、みんなそろそろ起きてくる、教えるのは早起きな僕らのつとめだ」

「彼はまだ僕たちのこと気づいていなかったでも、最後のはどうだったんだろ気づいてくれたかな」

「嗚呼、でも次の僕たちのあるじは彼だよ、気づいていても気づいていなくても」

「彼は僕たちの悲願をかなえられるかな」

「嗚呼、まだわからない、彼や彼女の時とは異なるからね」

「皆が起きてきたよ」

「嗚呼、彼について教えなきゃ、みんなこの時を待っていたんだから」

二人の近くに数人姿を現し始めた。

「皆、早く起きてくれ、今日は始まったばかりだよ」

「嗚呼、みんな本当の目覚めは近いよ」

それを聞いたものの中には、涙を流すもの、喚きだすもの、冷静に受け止めるもの、反応は様々なものだった。

彼らは永い眠りについていた。人にしてみれば永遠に近い時だろう。彼らの数百年にも及ぶ眠りは、目覚めを目前としていた。


そして、夜が明けた。

ゆっくりと投稿していきます。

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