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第二章 ハンデ戦(8)

 

 私、ブルータスはアレシアのジュリエッタお嬢様を見送りした後、支部長室に帰って来た。

 落ち着きなく部屋を歩き回り、自分を納得させるためさらなる思考を試みる。

 ジュリエッタお嬢様の手前、ああは言ったものの納得していなかった。

 ハンデ権のメリットに惹かれてと思わせたのは見せかけで、実はハンデ権そのものには興味がなかったとは考えられないでしょうか?

 机には真壁という名の来訪者について詳細な資料がおかれている。ジュリエッタお嬢様がこの件を持ち出したときから、部下を動員して身辺調査をさせていた。

 彼は大陸各所に出没しているらしい。

 記録によると水害や魔物の出現といった天災が起きると現れる傾向があるのでしょう。ある種の疫病神とも受け取れるますが、天災からの復興に協力してますから疫病神と言い切れない。 

 ギルドとの関わりでは過去には消息不明になった際の救出作戦に多大な尽力をしていますね。いずれも非公式な行動であるためか公式記録に彼の存在は残されていません。しかし資料によると事件後に複数のギルドが彼と接触したのも事実。恐らく勧誘だったのだろうが、いずれも良い結果は得られていないと調査結果には記録されている。

 稀にいる組織と相性の悪い野良犬でしょうか。しかしあのスルガヤに出入りしているとの報告もあり単なる組織嫌いとは思えない。

 そのような人物が意味のない要求をしてくるのでしょうか?

 ならば……

 いや、よそう、これ以上考えても推測の域を出ません。それよりも我々より早くにパトロンに名乗り出ることができた点について考えるほうが正しい。

 エレンの街の情報に関する限り、我がギルドより耳が早い組織はないでしょう。麻人という名の少年について、ガデス王国に仕える若造よりも早く知り得たのは当然の結果。我がギルドは豪商スルガヤにも遅れを取らない情報網を構築していると自負しています。にもかかわら、真壁とかいう来訪者は我々よりも早く理事長室に来ていた。

 スルガヤが後ろ盾となっているのでしょうか。

 いや、ありえないこと。

 利に聡い商人がギルドと事を構える筈がない。ならばあの男は事前に知っていたか、あの男が麻人を送り込んだかのいずれかしか考えられないでしょう。

 意味がある行為とは思えませんが、仮にあの来訪者は我が盟主が来訪者のパトロンになりたがる事を知って行動していたとしたら。

 別に秘密ではない。

 我が盟主の道楽は有名なゴシップ。

 まったく、我が盟主にも困ったものです。

 仮にこちらが拘るような人物を用意できたとしたら、ハンデ権の話までたどり着く可能性は否定できないでしょう。来訪者によればこのような手法を『美人計』『ロミオ』などと言うとか。麻人少年という手札があれば、やってみる価値はあるかもしれませんね。

 なにより失敗しても失うモノは少ないのですから。

 私個人としても麻人少年を私的な部下にしたいと欲求が抑えられません。

 ジュリエッタお嬢様があの様子では、とても我が盟主は認めては下さらないでしょうが。

 惜しいことです。

 なるほど、確かに有効な策かもしれませんね。

 ジュリエッタお嬢様だけでなく、私までも引っかかってしまいそうな逸材なのですから。

 魔術以外の手ほどきも行ってみたいですね。

 無論、性的な意味も含めて。

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