第一話
私の名前はレイヴン・アルデラード
魔王軍最強の魔術師であり、魔王軍軍師だ。
まさしく魔王様の右腕と言って良いだろう。
今日は魔王様より、火急の呼び出しがあった。今急いで魔王軍幹部会議室に向かっているところだ。
「遅くなりました。魔王様。如何いたしましたか」
「うむ。レイヴンよ。今回君を呼び出したのは、他でもない」
「はい」
「今日、僕が幹部会議を行うとしていたのはいつだ?」
「正午ですね」
「そう。では、今何時だね?」
「午後9時半です」
「なんでだよ!! 」
「なんで誰も来ないんだよ!! ずっと司会進行とか考えながら待ってた僕のドキドキと時間をかえして!」
「はぁ」
「ちょっと! みんな何してるの? 僕ちゃんと今日会議するよって通達したよね!?」
「はい。私が一切の手抜かりなく通達しております」
「手抜かりだらけだよ! だって誰も来てないんだもん!」
「おかしいですね。私のところには幹部の皆様の欠席理由が届いているのですが……。魔王様はご存知ない?」
「ご存知ないよ! そりゃそうだよ! 君が届けてないんだから!」
「それは失念しておりました」
「失念ってレベルじゃないよ……。まあいいや。それで? どうして皆集まってくれないの? 理由を教えてよ」
「かしこまりました。どなたからに致しますか?」
「じゃあ、ドラゴニカ将軍から」
「はい。魔王軍空軍大将 『獄炎の漆黒龍』 グラン・ドラゴニカ様ですが……」
「ですが?」
「現在、二泊三日の家族旅行に行かれております」
「なにやってんの!? 大事な会議だって言ってるじゃん!」
「熱海に温泉旅行だそうです。いいですね」
「別に聞いてない! え、て言うか、僕が幹部会の通達出したの一週間前だよね? 通達が届いてなお、あの龍は家族旅行優先したの?」
「ドラゴニカ様曰く、家族あっての仕事、だそうです」
「いい話だけども!」
「わかった。もういいよ。じゃあネプチューン殿は?」
「魔王軍海軍大将『海底王』ネプチューン様ですが……」
「ですが?」
「現在、フロリダで開催されております『地球海洋汚染防止サミット』に特別顧問として参加なされております。」
「それ人間主催のやつじゃん!」
「ネプチューン様曰く、日々失われていく海の美しさにもう耐えられない、だそうです」
「だから! そう言う怒りを人間達にぶつける会議をしようって言ってるの! どうして仲良くサミットしてるの!?」
「もういい! 吸血鬼は!? しばらく見てないけど、あいつはなにしてるの!?」
「魔王軍幹部『鮮血の貴公子』吸血鬼様ですが」
「ですが?」
「先日亡くなられております。享年562歳です」
「うそぉ!? あいつ死んじゃったの!? いつ!?」
「先日。私は葬儀に参加しましたよ」
「え、ホントに? 僕葬儀出てないんだけど」
「問題ありませんよ。魔王様以外の幹部は全員列席しましたし、魔王様はそもそも呼ばれてませんので」
「大問題だよ! 幹部皆出てるのに僕だけ出てないとか! え、てか呼ばれてないの? そうだ! 幹部の抜けた穴どうしよう! 」
「それも問題ありません。すでに吸血鬼様のご令嬢が幹部に就任しておりますので」
「あ、そう? それなら安心……じゃないよ! 幹部の任命権、僕にしかないはずだよ! あと、吸血鬼の娘、まだ僕に挨拶もしてないよ!」
「それは難しいかと」
「なんで?」
「新幹部の吸血鬼様ですが、生まれてこのかた一度もお城から出たことがないらしく、これからも出るつもりはないそうです」
「ひきこもりかよ! ダメダメじゃんか!」
「新幹部の吸血鬼様曰く、魔王に話すことなと何もない、だそうです」
「タメ口かよ!」
「さて、あと幹部は私含めて四名ですが、つづけますか?」
「次にまわして。のどがやばいから」
「かしこまりました」




