17話 次期生徒会の休日2
ゴォォォォォォォォォォ、パコーン!!
あちらこちらから響く音。幾重にも音が重なり、まるでメロディを奏でているかのようだ。
自己紹介を済ませた俺達4人は、神代に連れられてボウリング場に来ていた。
自己紹介と言っても、この中で初対面なのは、神代と琴音だけだったので挨拶程度だった。
「ボウリングなんて久しくやってないよー」
と、懐かしさからかワクワクしている琴音に対して。
「私は初めてです」
天吹は少し不安そうな表情をしていた。
俺はというと、何度かやったことがある程度であまり得意では無いので、乗り気ではない。
天吹にカッコ悪いところを見せたく無いからだ。
「皆さーん。ボク達は45・46番レーンとの事ですので、靴を借りて行きましょう!」
神代は言い出しっぺなだけあってノリノリだ。
神代の意図は解らないが、みんなでワイワイするにはうってつけだろう。
靴を履き替えてボックスに入る。
ふと、天井から吊るされているモニターを見ると、左の45番レーンには俺と琴音の名前が、右の46番レーンには神代と天吹の名前が表示されていた。
「お前、4人なのに2レーン借りたのかよ?」
神代がニヤリと笑う。
「これはアメリカン方式と言って、一般的なヨーロピアン形式とは違ってフレーム毎に二つのレーンを交互に投げるんですよ。公式大会ではアメリカン形式が使われるんです」
ペラペラと得意気にウンチクを語る神代。
端から見れば、女子達に知識を披露して気を引く普通の男なのだが、俺だけがそうでない事を知っている。
女子達には、『そうなんだー』とか、『物知りなんですね』とか、好印象なのだが。
神代は明らかに俺に向けて話している。
いやいや、『神代って博識なんだな……。ポッ……』とかならねーから!
そのウィンクをやめろ!
天吹と一緒に遊べるのは嬉しいのだけど、憂鬱だ……。
俺が項垂れていると、神代は一つ提案してきた。
「二人ずつ別れて勝負しましょう! 負けたチームがゲーム代を支払うと言うことで!」
「いいねー。 その方が燃えるしね!」
やる気まんまんの琴音に対して、天吹は。
「私……足を引っ張るかと……」
またも不安そうだ。
「ボクは少し心得があるので、ボクと天吹さん、ハルトと白糸さんでチームを組みましょうか」
神代の提案は、バランスから言ってまぁ妥当だろう。天吹と組みたかったが、俺のせいで負けるのも嫌だしな……
琴音の方を向くと目をキラキラと輝かせていた。
「ハル! ハルと同じチームで良かった!」
不覚にもドキッとした。
「な、なんでだよ?」
うろたえながら話す俺に対して、琴音は明るく言い放った。
「だって、負けてもハルに払わせるから!」
このアマ……