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15話 神代の策略

更新大変遅くなりました……

もう一作品書いたので、そちらもよろしくお願いします!

 明日からいよいよ連休というこの間の平日は、誰しもが鬱陶しく思うだろう。

 勉強が仕事の高校生には有給休暇など無いので、授業を受けるしかない。

 連休といっても相変わらず予定は無いので無駄な時間を過ごす未来しか見えない。


「秀は家族で海外かー。いいなー」

「家族旅行で喜ぶ年でも無いっての」

「予定が無い俺より充実した連休になるだろーが」

「天吹の連絡先聞いたんだろ? 連休暇かくらい聞けよ」

 ヘタレの俺にそれができたら苦労しませんよ。


 そんなこんなで放課後になってしまった。『無』としか形容できない連休が始まってしまう。

 やることもないので足早に学校を出る。

 すると。


「ハルト。返信をくれないなんて酷いじゃないか」

 校門の前には神代が待ち構えていた。

「お前、部活はどうした?」

「昨日試合だったからね、今日は休みさ。それに、キミに会いたかったからね」

 神代は『猫かぶりモード』と『オレ様モード』の中間くらいの口調だった。

めんどくさいやつだ。

「そうか。じゃ、またな」

 一瞥して立ち去ろうとすると呼び止められた。

「待ちなよ子猫ちゃん。明日からの休みの予定はどうなってるんだい?」

「あぁ、忙しくて困るくらいだよ。まぁ暇でもお前と遊ぶ気は無い」

 秀とならまだしも、こいつと二人きりなど耐えられない。先に鼻っ柱を折ってみたのだが、神代の方が上手だった。

「天吹さんが一緒でも嫌かい?」

「!?」

 思わぬ不意打ちに目を見開いた。

「どうせ天吹さんと何も進展してないんだろ? そして、ボクと二人では遊んでくれない。そうだろ? だったら天吹さんを餌にするしか無いよね」

 こいつ……一体何を考えてるんだ……?

「なんでわざわざ俺の手助けみたいな事を?」

「勘違いしないでくれよ。ボクと天吹さんを同時に相手して、ボクの方が素敵なパートナーだと気付いてもらうためさ」

 どんだけ自信家なんだこいつは……。

 俺としては、やはり男女という越えられない壁が存在するのだが、神代にはそう言った概念など存在しないのだろう。

 しかし、これはチャンスだ。

 理由や仮定はどうあれ天吹と遊べるのであれば、お邪魔虫の一匹くらい許容範囲だ。

「でも、いくらお前が天吹と仲良くても、GW直前に誘っても無駄なんじゃないか?」

 本心ではものすごく期待しているのだが、あたかも興味の無さそうな感じで問う。

 それでも俺の心の内が見透かされていたのか、神代はニヤリと笑みを浮かべた。

「そこは任せてもらおうか」

 そう言いながら神代は携帯を取り出して、電話をかけ始めた。


「あ、今大丈夫ですか? 明日からの連休中に次期生徒会の親睦を深めるためにみんなでどこかに遊びに行きませんか?」

 電話の相手は天吹なのだろう。次期生徒会メンバーと言えば、俺と神代と天吹が集まる理由としては問題無い。お邪魔虫がもう一匹増えるという問題はあるが。

「……はい。 ……えぇ、えぇ。 ……そうですね、みんなで。 ……はい」

 電話で気軽に天吹と話す神代を羨ましく思う。

「……はい。では詳しくは追って連絡しますので。 ……はい。それではまた」

 会話を終え、電話を切った神代がこちらを向いて、ニヤリと笑った。

「明日、天吹さんは来れるとのことですが、どうしますか?」

 休みの日に、天吹と遊べる。その事実に現実味がわかない。しかも、自分で誘ったわけでもなく、二人きりというわけでもない。しかしながら、答えは決まっていた。

「行きます。ありがとうございます」

 思わず礼まで言っていた。


 帰宅後、神代からのメールで、琴音も来るとのことで、明日遊びに行くことが確定した。とりあえず、明日の昼前に駅前に集合し、何をするのかはその後決めることとなった。

 その夜は、遠足前日の小学生の如く、なかなか眠れなかった。

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