沙都子ちゃん奪還作戦3
岸和田の家を後にして、俺達二人は町の方にまたバスに乗り向かった。
柴田の持っているレポートの中には正人の住所などは当然書かれてるわけがないので俺達は自力で探すことにした。
そんな人の住所が分からない時は市役所に行けばいいのだ。
俺「って言って来てみたが市役所は個人情報を教えてくれるのか?」
柴田「おいおい、ここがどんな世界か分かってるのか?重い罪の生物が軽い罪の生物の罪を見つける場所だぞ。なんの情報もなかったら進まないだろ。」
俺「そんなこと言ったって市役所だぞ!他人がいきなりAさんの情報が欲しいんですって言って、分かりました。こちらになりますみたいにそんな軽々しく教えないだろ。」
柴田「わかった。ならば勝負しよう。もし情報を貰えなかったら何でもお前の言うことを聞いてやろう。その代わり情報が貰えたらお前はなんでも俺の言うことを聞けよ。」
ふっ。馬鹿な賭けに出たものだな柴田。
そんなことがおこる訳がないだろ。
フッフッフッ。どんなことしてもらおうかな。言うことを聞く回数を無限にしてもらおうかな。いや、一生俺の奴隷になってもらおうかな。
そんなことを俺は考えていた。
今、考えれば何てことをしたのだろう。
柴田が偶然を求めて勝負に出るはずがない。
あいつはいつも必然と見て行動しているのだとその時は思ってもみなかった。
柴田「では、市役所に入ろう。」
俺達二人は賭けをした後に華美ではなく、一般的な外壁の市役所に入って行くのだった。
市役所職員一同「こんにちは。」
元気な挨拶が館内に広がる。
職員全員が俺達に挨拶をしたのである。
俺達は情のこもった挨拶を受けながら市民質問センターという場所に向かった。
質問センターは市役所の二階にあり、ドアのガラス部分から中を見ると職員が座る椅子と質問に来た市民が座る椅子が2つ用意されていた。
俺達は早速中に入った。
職員「こんにちは。今日はどのようなことがおありでしょうか?まずはお座りになってお話ください。」
ここでも職員の丁寧な対応が見てとれた。
俺達「それでは失礼します。」
そう言い俺達は椅子に腰かけた。
柴田「入って来ていきなりなのですが岸和田正人さんの住所などの情報をいただくことはできませんか?」
柴田が席に着くやいなや、早速質問に出た。
職員は顔を少し歪ませたがすぐに返事をする。
職員「お客様、すみませんがそのような個人情報の漏洩行動は特別な場合を除いて行うことはできません。申し訳ございません。」
職員の例文通りの返しをされた。
勝った。俺はその職員の言葉を聞いた時、情報を貰えないというにも関わらずその場でガッツポーズをしてしまった。
そして雄叫びを揚げようとする。
俺「ヨッシ‥‥‥‥」
俺が最後の言葉を発しようとしたとき、柴田は動いていた。
柴田「私が重い罪の生物のサポート役でもですか?」
職員はその言葉を聞いた時、顔色を変えていい放った。
職員「めっそうもございません。それでしたらすぐに用意いたします。」
そう言い残すと職員は走るように早足で資料があるであろう場所に向かった。
‥‥最後の言葉を言えずにいた俺が柴田を見ると親指を立てていた。
そして指をbとしたまま一言
柴田「お前は俺の奴隷だな。」
その瞬間、勝利を確信していた俺は崩れるように床に倒れた。
‥‥本当は情報の入手可能か不可能で争う場合ではないのだが‥‥まぁ今、くらいはね。
そう、誰かも分からない人物に語りかけるのであった。