表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

高校生の始まり

ーゴホンッ

「おはようございます。まずは新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

この良い天気に恵まれ、…」


今日から高校生になった。

私は、それなりに勉強ができていたこともあり進学校に進学することができた。

これといった特技はないが、中学でバスケをしていたから高校でもしようと考えている。


とにかく校長の話が長くて退屈だ。

あたりを見渡してみると、中学から自転車で通学できる距離なこともあり、

知った顔が何人か見つけられた。


「…新入生の皆さん、この高校生活を謳歌して下さい。」


「校長先生、ありがとうございました。続きまして、…」


どうしてこうも高校というのは、式典を長くするのだろうか。

10時から始まった入学式は12時前に終わった。

これから教室に移動し、担任の話やクラス役員が決まる。


移動中、後ろから中学からの仲のいい秀太しゅうたがやってきた。

「こっち女子多くて、男も楽しそうな感じだけど、そっちのクラスどんな感じ?」


「それは文系だからなー。

俺のクラスは特理だから女子は少ないし個性ありありな男がいっぱい。」


特理とは、この高校にある特別理数コミュニティー科の学科のことで近くの地域では

特理と略されて呼ばれ、ご近所さんには評判らしい。

他に、普通科があり2つの科からなる高校である。


「やっぱりかー、でもバスケあるから大丈夫でしょ。

それよりも聞いた?明日いきなり春休み与えられた宿題の範囲で

試験あるらしいな。」


「掲示板にでかでかと貼ってあったな。

春休み遊んだからなー、誰が春休みに勉強するかよなー」


秀太が急に肘で小突きながらニヤニヤして、

「そういえば、相変わらず懲りてないらしいなぁ」


「うるせーよ、美穂みほはまたベラベラしゃべったのか」


美穂は小学校からずっと一緒で中学の時は色々な相談にのってもらったりしていた。

そして、秀太の彼女でもある。

これはまたおいおい話していこうと思う。


「そんじゃ、また後でな、今日は花花ラーメン行くぞっ」


そう言い残し、秀太は、5組に入っていった。

特理は1組なのでこの廊下の1番奥にある。

席に着き、緊張を表に出さないように平然を装い周りを見る。

どうやらみんなそんな感じ。

同じ中学同士で喋っている感じのグループも見受けられる。


担任が入ってきた。

これがまた個性的だった。

第一印象はザ・理系だった。

「おはよう、私は橋口はしぐちと言います。

私もこの高校は1年生なのでお互いここに馴染んでいきたいと思っています。

よろしく」


数人が小さい声で反応しただけだった。

ここから1人ずつ出身中学、好きなスポーツなど一言を加えた自己紹介が始まった。


順番が回ってきた。

菊池旭輝きくちあきてると言います。

出身は宅原えいばら中で、バスケ部に入ります。

よろしくお願いします」


とりあえず流した。

順に進み、1人バスケで有名な中学で見たことがあるやつを見つけた。

他にざっとわかるのは女子が9人の40人クラスであることぐらい。


クラス役員も決まり、自分は広報係というほぼ何もしないであろう役についた。

順調に進み、最後に先生の明日の試験頑張って下さい、と言って解散した。


一応同じ中学のやつは3人いたが、ほぼ話したことがなかったため

そそくさとカバンを肩にかけ、教室を出た。


5組の前で外の満開の桜を見ながら待っていると、声をかけられた。


「菊池君だよね、同じ1組の松本です。よろしくね」


私はだるそうによろしく、とだけ言ってまた桜を眺めた。

松本は今日できたであろう友達と内容がないような話をしながら去って行った。


少しして秀太が女の子2人とバイバイの挨拶を交わしながらに出てきた。


「テルー、そんじゃ行こー!」


「ホント、社交的だよな」


「なんか向こうから話しかけてきて内容がないような話で終わらせてきた」


秀太がドヤってきた。

「ごめん、さっき俺もその親父ギャグ使った」


「俺が先に発信したから俺のレパートリーな」


そんな話をしながら学校を出て、自転車でラーメン屋へ向かった。


ラーメンを食べていると地元の店ということもあり、

中学のときの友達がそれぞれ入学式を済ませ入ってきた。


「テルと秀太やんかー、やっぱここだな」

「高校どーよ、可愛い子いた?」


同じバスケ部だったゆうとアキラが入ってきた。

他にも少し遅れて入ってきた。

悠とアキラは小学校から同じチームでバスケをしていたこと、

同じ学力だったこともあり2人で高校を強くすると言って同じ高校に進学した。

2人とも卒業時182cmあり、上手いので敵としては厄介になりそうだ。

秀太ともクラスが一緒だったので話が合う。


秀太が返す。

「まだわかんねー、クラス内は数人かな。

それよりも校長の話がやたらと長すぎて、

前のやつの天然パーマ観察してたら悲しくなってさ

拝みよったら横の可愛い子たちに笑われてそっから仲良くなった!

校長あざすって感じ」


「楽しんでんなぁー、テルは相変わらず無愛想装って品定めかー」


「そんなんじゃねーよ、アキラみたいにコソコソはしねーよー」


「よっ、手が早いテル!」


こんな感じで基本的に女の子の話ばかりで盛り上がるような友達に

囲まれ中学生活を送ってきた。


程なくして、席を立ち秀太と私は家路につく。


19時前に帰宅したが母は帰っていなかった。

だいたい20時前後に帰ってくるのでそれまでに洗い物、洗濯を済ます。

母子家庭ということもあり2人で協力しながら生活している。


夜も深くなり、布団の中にくるまる。

明日から始まる高校生活を想像してみる。

たぶん、高校も中学の時のような仲間に囲まれ、

仲間内で楽しくやって、またバスケにも専念しながら過ごす。と。

しかし、思わぬ人との出会いから全く違う方向で謳歌することになる。

そんなこと想像できるわけもなく、ただワクワクしながら眠りにつく。

ただし、バスケを専念することは予想通りだった。


ー次の日の朝

しっかりと朝食をとり、秀太との待ち合わせ場所へ自転車で向かう。


「おはよー、試験いややー!」

秀太が嘆いている。


「あ、試験の存在忘れてたー、さよなら俺の天才ストーリー」


「なに、テル真面目ぶろうとしてたのかー?

そーは問屋がおろさんよ?

とりあえず点数勝負な!

勝ったら花花ラーメンおごりでー」


「まかせいっ!

秀太には負けんぞー、待っててくれ花花ラーメン」


高校に近づくと電車通学組がぞろぞろ歩くのが見えてきた。

やっぱり1年生というのは目につきやすい。

どーにかならないものなのか。


高校につき、秀太とわかれ、教室へ入っていく。

高鳴る気持ちを抑え、花花ラーメンによだれをそそりながら。


ーガラガラッ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ