0.プロローグ
基本は、コメディー路線で行こうかと思っています。
やっぱりシリアスでいくかもしれませんが。
『七英雄』
そう呼ばれている、七人の男女がいる。
全員が卓越、いや、超人的な戦闘能力をゆうしている。
『カゲロウ』
『千手闘神』
『拳聖』
『闘悪超人』
『杖仙』
『万貫槍手』
『魔神』
彼らが成した偉業は、『色獣』という魔獣を討伐したことだ。
色獣とは、世界最強の魔獣のことを指す。
自然界において、己の身を護るために周りの環境と似た色、すなわち保護色をまとっている動物は珍しくない。
だが、色獣は違う。
彼らの体色は、保護色どころか、華美すぎるのだ。
己の存在を誇示するかのように、目立つ姿をもって生まれてくる。
それは、絶対強者である証明。
剣も、銃も、牙も、爪も、毒も、戦車も、飛行艇も彼らの前では等しく無力。
そんな存在の一角を、『七英雄』は打倒した。
そんな彼らが住んでいる世界に、少年が一人。
☆
少年は、夜の森を一人で歩いていた。
手には、一振りの木刀。
それだけが、彼の頼り。
「うう、寒いよぉ。暗いよぉ」
彼は母とともに森に入り、はぐれてしまったのだ。
「お母さん、怖いよぉ」
森の中を闇雲に歩き回り、母を探し続ける。
「あれ?」
その途中で、少年は金色の光を見つけた。
訝しげに首を傾げて、光へと歩み寄る。
「わぁ」
そこいたのは、美しい金色の体毛に包まれた狼だった。
その毛並みは高級絨毯のように滑らかで、光沢を放っている。
金浪の息遣いは荒かった。
「どうしたの?」
金浪へと駆け寄り、体を見る。
そして、金浪は怪我をしていることがわかった。
「大変だ。すぐに治療してあげるからね」
「…………グルル」
「警戒しなくていいよ。っていっても無理か」
少年はポケットから、残っていた干し肉を出す。
それを金浪へと差し出した。
「これ、あげる」
「…………」
金浪は幾度も臭いをかぎ、肉を食べた。
肉を食べ終わると、少年の顔を舐め始める。
「ははは、くすぐったいよ」
「ウォン!」
金浪の頭を撫でて、これからどうしようかと考えを巡らせる。
そうしていると、
「リヴァ~、どこにいるの~?」
暗闇の中から女性の声が聞こえてきた。
「あ、お母さんだ!」
それは、少年の母の声だった。
嬉しそうに笑い、金浪へと向き直る。
「一緒に行こう。君ともっと一緒にいたいし」
「ウォン!」
これが、この物語の起源。
『七英雄』
『竜狩りの剣』
『世界を滅ぼす剣』
『色獣』
『竜神』
全ての歯車が噛みあい、動き出す。
世界という『物語』が動き出す、歯車が回り始める。
もう、歯車は止まらない。
さぁ、物語の始まりだ。