番外編8. クロスビー家の長女
子供たち編。その3
またまた長文・・・・申し訳ありません。
3人目の子供が女の子だとわかったとき、アレンさんとデルレイが驚いた。
なんと、クロスビー家で女の子が生まれたのはアダルさんのお母さんで女性当主だったアンドレアさん以来らしいのだ。ということは、数百年くらい男子ばっかりってことか~。どんだけ男系なんだ。
そして生まれた長女は私譲りのこげ茶色の髪の毛にコバルトブルーの瞳で顔は私に似てるような。上二人がデルレイの完全コピーなので、何だか妙に嬉しかった。
長女はアオイと名づけられ、現在4歳になった。
今日は、アオイと二人でベルカフェに来ている。ここのケーキはもちろんお目当てなんだけど、アオイには別の目的があったりする。
「ベルおばちゃん、こんにちは」
「いらっしゃいませ。アオイちゃん」
アオイは席についているものの、きょろきょろ落ち着かない。
「アオイ。おちつくのよ。」
「う、うんっ」
「うふふ。アオイちゃん、エルバートならもうすぐ帰ってくるわよ」と言い、アオイにジュースを出してくれるベルさん。
「ごめんね、ベルさんにも協力してもらっちゃって」
「いいのよ~。アオイちゃんかわいいし。大きくなったらお嫁に来てくれるとうれしいなあ」
「そしたら、私たち親戚だね」
「わ、それ素敵」
二人で盛り上がっているところに、「ただいま~」と群青色の髪の毛に、青緑色の瞳の男の子が顔を出した。
「母さん、ただいま。こんにちは、ナナオさん。アオイも一緒なんですね」
「おかえりなさい、エル。お茶でも飲んでいく?」
「そうだね。」そういうと、男の子は私たちのテーブルの隣に座った。
この男の子はエルバート・クラドックくん。ジュードさんとベルさんの長男で9歳になる。ジュードさんにそっくりな男の子なので、将来は間違いなくイケメンだ。うちの息子たちもだけど、将来楽しみだねえ。そして、アオイの憧れの男の子でもある。
「エル、このあと忙しいの?」
「今日は特になにも。母さんたちが話したいなら、僕がアオイと遊んでるよ。アオイ、どうする?」
「エリュバードくんと、あそぶっ」アオイは顔を真っ赤にして嬉しそうにうなずく。
「エルでいいよ。言いづらいんだろ?」エルくん、違うよ。アオイは君をみてドキドキして舌をかんだだけなのよ。
それにしてもエルくんって偉いよなあ。うちの息子たちだって、アオイの相手は時々嫌がるというのに・・・・。
私たちは二人の様子を時折みながら、話を楽しんだのだった。
子供たちが寝室に行き、二人だけになった応接間。
「・・・・ナナオ」デルレイが珍しく不機嫌な声。
「どうしたの?」
「俺はジュードとは親戚になりたくないからな。あいつは友人として最高だけど、ランス様と同類だ。」
「はあ?」
「今日、俺が帰ってきたときにアオイが言ったこと、覚えてるよな」
私は、そこで合点がいき、今日の会話を思い出していた・・・・。
デルレイは帰ってくると、時間が遅くない限り家族用の居間で子供たちと話すようにしている。アオイはまだ学校に行ってないので、だいたい今日何をして遊んだかを話すことが多い。
「アオイは今日、何をして遊んだんだ?」
「おかあさまと、ベルおばちゃんのおみせにいったの」
「そうか。」
「そこでエルとあそんだの。えほんよんでくれたの」
「エル・・・エルバートか。」
「うん。」
「楽しかったか?」
「うんっ!やっぱりエルはかっこいいの。わたし、エルのおよめさんになりたい」
「は?」
「だめなの?」
「・・・・・お父さんは、アオイにもっと視野を広くもってほしいな」
「しや?」
「世の中には、いろんな男がいる。もっと知り合ってから決めてもいいと思うぞ」
「えー、エルがいいな」
えーっと、デルレイ。4歳の女の子の淡い初恋なんだからさ・・・・。私はアオイが大きくなってからのことを想像してしまって、ちょっと頭が痛くなってしまった。
読了ありがとうございました。
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長女編です。
こんな娘バカな父親って現実にはいないと思います。
と言って、いたらどうしよう。
この話で「魔道士」は完結済とさせていただきます。
読んでいただいてありがとうございました。