番外編6. クロスビー家の長男
子供たち編。その1
ぼくは、リクト・クロスビー。8さいだ。
ぼくは今、家の庭園で学校の先生から出された宿題になやんでいる。
それは「あなたのそんけいする人」をその理由とともに発表するというものだった。
ぼくの家は「昔からの魔道士の家系」で、とうぜんぼくも将来は「魔道士」になる予定だ。父上もぼくや弟のカイト、妹のアオイには魔力があるから、なれるだろうという。なれたらいいな。
・・・・しまった、それは「あなたのしょうらいのゆめ」に書くものだ。
そんけいする人・・・・うーん。父上もは母上も、アレンおじさまも尊敬している。
家にいるクロードやヴェラ、トマスやエルシーも大好きだ。たくさんいる場合はどうするのかなあ・・・・。
「何うなっとるんだ、リクト」
声をかけられたほうに顔をむけると、そこにはランスおじちゃんが立っていた。
「ランスおじちゃん!いつきたの?」そうだ、ぼくはランスおじちゃんも大好きだ。父上は「ランス様の腹黒が子供たちにうつる」って、よくわからないことをいうけど、母上は「デルレイ。何失礼なこと言ってるの。」と父上をたしなめている。
「しゅくだいになやんでいるんだ」
「宿題?」
「“あなたのそんけいする人”をあした学校ではっぴょうするんだけど、ぼく父上も母上も、アレンおじさまも、大すきでそんけいしてるんだ。だれのことをかいていいのかわからないんだ」
「なるほど、それは悩んじゃうな。しかし・・・家族というのはありきたりだぞ。」
「ありきたり?」
「そうだ。ここは目立つように他人を書いたほうがいいな」
「そうなの?」うーん、母上が「家で働いてくれる皆は家族も同然」って言ってたから・・・
「じゃあ、ランスおじちゃんかなあ」
「お、私かい?リクト」
そのあと、おじちゃんは宿題に関して、いろいろ話してくれたのだった。
「ありがとう、ランスおじちゃん。ぼく、しゅくだいしてくるよ!!」そういって、ぼくはおじちゃんと別れた。
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王宮の魔道士長室。
「・・・・ランス様・・・・リクトに何吹き込んだんですか」
「吹き込んだなんて失礼な。俺は宿題に悩んでたリクトの話を聞いただけだよーん」すっとぼけるランス様。
すっとぼけるランス様に付ける薬はない・・・。
ぼくのそんけいする人 リクト・クロスビー
ぼくのそんけいする人は、ランス・アイルズバロウまどうし長です。ふだんはランスおじちゃんとよんでいて、いえに来るとぼくやカイト、アオイとあそんでくれます。
父上はランスまどうし長の右うでとよばれていて、そんけいしているそうです。
ランスまどうし長は、いつもぼくたちきょうだいをあたたかくみまもってくれています。
しょうらいは、いいまどうしになって、ランスまどうし長をたすけたいです。
それは、花丸がついた一枚の紙。
親としては嬉しいが・・・・。もっとも、これを見たナナオは「あらー、リクトったら~」と面白がっていたが。
ランス様も確かに尊敬できる・・・・仕事面だけだが。順当に成長すれば、俺の次の当主になる長男がもうランス様に取り込まれているあたり・・・ほんとうにあの人は抜かりがないよなあ・・・俺はちょっとだけため息をついた。
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久しぶりのランス様です。
相変わらずのようです。