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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
魔道士と整理係-番外編-
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番外編5.エルシーの恋の花

ナナオの世話係、エルシーに見合い話が。


長文になります。

ご了承ください。

 一斉休暇の日、私は実家に帰った。

 私の実家は王都で小さいながらも食堂を経営している。常連のお客様などもいて嬉しいことに年中忙しい。父と義兄が調理で母と姉が接客をする。私もクロスビー家に勤めるまでは、学校が終わると接客をしていた。だから、私も休みになるとよっぽどの用事がない限り実家を手伝う。

 朝から顔を出し、うちの一番のピークであるお昼を手伝い、休憩時間になった。

 遅い昼ご飯を家族で食べて、お茶を飲んで夕方まで各々くつろぐ。

 ところが、いつも町の噂話や新しいレシピの話をするはずの家族が妙に静かだ。私をみては何か言おうとする両親。その両親と私を見て楽しそうな(?)姉夫婦。

「・・・どうしたの?お父さんたち変だよ」

「そ、そうか?いつもどおりだよなあ、母さん」

「そうよ、いつもどおりよ。何言うのエルシーったら」

「嘘。そんなに動揺するお父さんたちを見たのは姉さんが結婚するまえに義兄さんを連れてきたときくらいだもん」

「ぷっ。そうだったの?エルシー」姉さんがふきだす。

「だ、黙りなさいっ。じ、実はなエルシー・・・」と父が口を開いた。



「・・・・見合い?」

 トマスさんが持っている包丁を落としそうになる。

「トマスさん!あぶないです!」私が慌てていうと、「おっと」とつぶやいて包丁をテーブルに置いた。

 トマスさんは私がクロスビー家で働くことになるきっかけになった人で、もともとうちの食堂の常連だった。私の働く様子をご両親である執事のクロードさんと家政婦のヴェラさんに話したらしく、後日クロードさんたちが私を見に来て、クロスビー家のメイドとして働いてみないかと打診してきたのだった。

 私も両親も驚いたものの、クロスビー家はその待遇と給料のよさでなかなか欠員が出ないことで王都では知られていた。みんなの憧れの職場で働くチャンスなんてこれから先あるかどうか分からない。私は喜んでクロスビー家で働くことを決めた。

 あれから早5年。私も23歳になっていた。提供されている一人部屋も、実家の私の部屋よりはるかに広くて快適。屋敷の皆さんは仕事には厳しいけど親切な方ばかり。私は現在の職場に至極満足している。

 トマスさんとは、屋敷で働くようになって初めて口をきいた。トマスさんは私より8歳年上で、ちょっとぶっきらぼうなところはあるけど、作る料理は最高に美味しいし親切な人だ。失敗して落ち込む私にホットチョコレートを入れてくれたり、焼き菓子を試食しろとか言って食べさせてくれる。

 まるで、お兄さんみたいな人。だから、今回の見合い話もトマスさんに世間話みたいに話したのだった。


「見合い相手・・・どんなやつだ?」

「えーっと、食堂の常連さんである鞄職人さんの知り合いの息子さんだとか。王宮に勤めているんですって。でも、話だけで顔もみたことないんです」

「そうか・・・で、エルシーはどうするんだ?」

「どうっていわれても、戸惑ってしまって」

「そうか。・・・仮に結婚したら仕事、どうするんだ?」

「え?続けたいです。ティアさんもミリアムさんも結婚して子供いても仕事していますし。私もお二人みたいに働きたいです。」

「その、相手が仕事辞めろっていうやつだったらどうすんだ?」

「えっ・・・あ、そうですよね。考えてませんでした」

「そこを相手に聞いてもらったらどうだ。共働きでもいいというなら会ってみればいいんじゃないか?どうしても譲れない点がある場合は主張したほうがいいと俺は思う」

「なるほど~。さっそく父に連絡してみます。トマスさん、どうもありがとう」

 そこにナナオ様が顔をだした。「トマス、エルシーいるかしら」

「は、はいっ」私が慌てて返事をすると、ナナオ様は「悪いんだけど、図書室の掃除を手伝ってくれない?一人じゃちょっと大変なのよ~」すまなそうに言う。

「わかりましたっ!それでは掃除道具を先に準備しておきますね」

「ありがとう。私は、ちょっとトマスと献立の打ち合わせをしたいから後から行くわね」

「はい。失礼します」私はお辞儀をして部屋を出た。


(その後の厨房)

「トマス・・・・いい加減告白しちゃいなさいよ。じれったいわね~」

「何のことでしょうか」

「とぼけちゃって。エルシーに対するトマスの気持ちなんてお見通しよっ」

「・・・私は8歳も年上ですから。すっかり兄ですよ」

「ばっかねえ!世の中には歳の差夫婦なんてザラにいるのよ。8歳なんてたいしたもんじゃないわ」

「当主様とナナオ様は同じ年齢じゃないですか」

「うっ。それはそうだけどっ。このままじゃエルシー、そのうち見合いしちゃうわよ」

「・・・・それは困ります」

「だったら、その変なこだわりをとっぱらって何とかしなさいよ。なんだったらデルレイに協力させる?私も頑張っちゃうよ」

「・・・それは勘弁してください」


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


エルシーとトマス・・・このあと、どうなるんでしょうねえ。

(書いておいて人事の作者です)

こんな感じの話もあっていいかなと思ってUPしてみました。

ところで、デルレイとナナオ・・・やっぱりナナオが強そうです。

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