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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
魔道士と整理係-番外編-
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番外編4. クロスビー家の一斉休暇

クロスビー家の料理人・トマスが見たもの。の巻

 俺はトマス。クロスビー家で料理人として働いている。家族は両親と兄で、両親はそれぞれ執事と家政婦としてクロスビー家で働き、兄はいずれ父の後を継ぐため他家で執事として修行している。

 最近、当主のデルレイ様が結婚した。お相手のナナオ様は倉庫と書庫の整理係として屋敷で働いていた方だ。気さくな人で、俺が作った菓子が美味しかったからと厨房にエルシーを連れてやってきたのには驚いた。レシピを教えると、自分で作ってみると言い出し、それいらい時折厨房で俺のレシピをもとに菓子や料理を作っている。

 それを知った当主様も最初は驚いたものの、許可をしてくれたらしく、ナナオ様が使う分としていくらか厨房の予算を上乗せしてくれたのだった。甘いものが苦手な当主様もナナオ様が作ったものは別らしい。

 当主様とナナオ様が結婚したことで、クロスビー家にはいろいろ変化が起こったが最たるものは一斉休暇が増えたことだ。もともと当主様は、時折屋敷の使用人に一斉休暇を与えることはあった。

 せいぜい年に1度くらいだったのだがナナオ様と結婚してからは3ヶ月に1回は一斉休暇が与えられるようになった。前もって言われることが多いので屋敷の皆はそれぞれ予定をたてて結構楽しみにしている。


 今日は一斉休暇のため、屋敷にいるのは当主様とナナオ様だけだ。俺はお二人に見つからないように屋敷内の自分の部屋に向かっていた。

 よりによって、この日に忘れ物をする俺ってばか。同業の友人たちと食事をかねた新作料理の研究をするというのに、レシピノートを忘れるなんて。

 音を立てないように、裏口からこっそり入ると厨房に明かりがついているのが分かった。 屋敷に残った誰かが食事でもしてるんだろう・・・と何気なく厨房をのぞくと、そこでは当主様とナナオ様が楽しげに食事をしていた。二人は湯気のたった白いものを妙な箱から器によそっていた。鍋からは今までかいだことがないいい香りがする。


 テーブルの上には肉を焼いたもの、生ではない火を通した青菜(とはいえ見たことない料理だ)、黄色い四角っぽい形をしたものなどが並んでいる。

「久しぶりのご飯~」ナナオ様が嬉しそうなのをみて当主様も嬉しそうだ。なるほど、ゴハンというのか、あの白いものは。

「このゴハンというのは、さっきの固いコメが変化したのか?柔らかくなるのだな」

「よく噛んで食べるんだよ、デルレイ。おかずや味噌汁も一緒にね。」

「これはナナオが、あちらの世界でよく食べていたものか?」

「そうだね。私、パンも好きなんだけど、ご飯にはかなわないなあ」

「この、ミソシルというのも、なかなか美味いな。」

「ありがと。」ナナオ様が微笑む。

「ナナオの料理を食べられるなんて、一斉休暇のとき以外無理だからな。」

「当たり前でしょう。トマスさんの料理が美味しいんだから、私の出番はないわ。」

「俺はナナオの作ったものが世界一だと思うぞ。そうだ、今度二人でこのゴハンにあうおかずをこちらの食材で作ってみるか?」

「楽しそう。デルレイは料理を作ったことがあるの?」

「・・・食器洗いは俺がやる。」当主様が食器洗い・・・両親が聞いたら全力で止めそうだ。


 このまま、お二人の仲のよさを見ていてもしょうがないので俺はそっと厨房のドアから離れた。

 一斉休暇が増えた理由は、どうやら当主様がナナオ様に料理を作ってもらうためだったらしい。

 それにしても、ナナオ様の作った料理は見たこともないものが多かった。機会があったらレシピなどを教えてもらえないだろうか・・・・あの料理を俺のレシピノートに加えたいものだ。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


トマスが見た妙な箱とは炊飯器です。アレンさんによってブレドン王国バージョンに変化しております。

調味料(味噌・しょうゆなど)も炊飯器やお米とともにアレンさんから

送ってもらっています。

びっくりしちゃうくらいのご都合主義です。



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