83.半年後。
七生、自分の選択に満足する。の巻
「はい。これで完了。・・・ナナオ、きれいよ」
「ありがとう、オーガスタさん」
私はオーガスタさんの店で注文したドレスを身につけていた。
光沢感のあるオフホワイトのシンプルなドレスに淡いブルーのリボンをさし色としたデザインでオーガスタさんから見せてもらったデザイン画の中で一目ぼれしてしまったデザインだった。
オーガスタさんから「オーガンジーとかレースでふわふわゴージャスにしましょうよ。ね?ナナオ♪」と押し切られそうになったものの、フローラならともかく私にはふわふわゴージャスドレスは無理~と相当頑張って説得したのだった。
「ナナオ~、用意できた?」フローラが顔を出す。
「フローラ。まあ、なんとかね。」
「うわ~、よく似合う!きれいきれい!そういえば、デルレイがさあ~」と笑い出すフローラ。
「どうしたの?」
「ほらー、ナナオがドレス姿をパーティーが始まるまで見ちゃだめだって言ったでしょう。だからいらついてんのよ~。見てて面白くって。」
ああ、思い出すとおかしいといってフローラは笑い出す。オーガスタさんも笑いをこらえている。
私も申し訳ないと思いつつ、デルレイのいらついてる姿を想像して笑ってしまった
「・・・・デルレイ。落ち着きなさい」
叔父上に言われて、とりあえずうろうろするのをやめた。そういえば叔父上は見慣れない機械みたいなものを持っている。なんだろうか。
「叔父上、それはなんですか?」
「これか?これはデジタルカメラというものだ。ナナオの世界で人や物を写すときに使うのだ。こちらの画像石みたいなものだな。ナナオが自分の世界の親しい人にも知らせておきたいというのでな。・・・当然だろうな。親しい人は見たかっただろうに」
自分の都合とはいえ、ナナオの世界にいる親しい人を呼ぶことができないことに罪悪感がわいた。
「叔父上、よろしくお願いします」俺が頭を下げると叔父上は笑ってうなずいた。
「アレン、デルレイ、二人でなに話してるんだ?」
そこに、やけに陽気なランス様がやってきた。まだ酒は出ていないはずなのだが・・・・いったいどうしたといのだろう。
「ランス。やけに陽気だがどうしたんだ?」叔父上も不思議に思っていたらしい。
「いやー、俺が10日もデルレイに休暇をあげたことでこうやって二人が結婚できたかと思うと嬉しくてさあ」
そのあと、戻ってきた俺に休みなしの1ヶ月勤務を押し付けたのはランス様だ。おかげでなかなか屋敷に戻れなかったというのをこの人は忘れているような気がする。いや、ぜーったい忘れている。
俺がランス様に反論しようとしたときに、ドアが開いてナナオが入ってきた。
ドレスを着たナナオをみたのは初めてだ。
ナナオが近づいてきて「どう?」と聞かれたとき、俺は「う、うん。きれいだ」と心から伝えた。ナナオは「ほんと?ありがとう」と花が咲いたような笑顔になった。
「どう?」デルレイにドレスを見せたとき、「う、うん。きれいだ」と言ってくれた。
アレンさんが写真をとってくれるというので、デルレイと並んで撮影してもらう。
「ナナオ。あれで撮影するときは止まってなくてはいけないのか?」
「そうだよ。そうしないと、ぶれちゃうの。」
「なるほど、画像石よりも不便だな。」
「そりゃそうよ。魔法と違うんだから。さ、デルレイ笑って笑って」
きっと、私たちずっとこんな感じで一緒に人生歩んでいくんだろう。それでも、その人生は色々あるかもしれないけど、楽しいに違いない。
なんだかんだいって、私は結局デルレイといるのが一番居心地がいいんだから。
読了ありがとうございました。
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次回、あと1話で本編完結になります。