75.デルレイの3ヶ月目
デルレイ、休暇をもらう。の巻
「今日はここまでにしましょうか」
俺は叔父上に“ニホンゴ”を教わって3ヵ月がたとうとしていた。
「いやー、ナナオの国の言葉は難しいな~」ランス様が伸びをした。
確かに、“ニホンゴ”は難しい。同じ言葉なのに意味が全く違うのもあれば、状況によってとらえ方が違う言葉もある。
「デルレイ、頑張ったな。ナナオも驚くんじゃないか?」
「叔父上。ナナオには内緒にしてください。驚かせたいので」
「アレン、俺がニホンゴを教わってることも黙っててくれよ~」
「・・・二人とも、そんなにナナオを驚かせたいんですか。」叔父上はちょっと呆れながらも笑って承知してくれた。
「さてと・・・ランス。仕事状況は現在どうなってる?」
「面倒な案件は今のところないな。ここのところ、王国は平和なもんだ」
「そうか。どれくらいなら?」
「うーん10日くらいならなんとか。」
叔父上とランス様は俺を差し置いて、二人で意味不明な会話を交わしていた。誰の仕事状況が二人に関係あるんだろうか。
そのあと二人はなぜか俺に聞こえないようにこそこそ話しだし、なにやらまとまったようで叔父上が画面の向こうで俺を呼んだ。
「・・・・二人で何こそこそ言っていたのですか?」
「デルレイ」
「はい」
「お前に10日間の休暇だ。」
「はあ??」
「だからー、デルレイに休暇をやるっての。お前がいないと俺が大変なんだけど。俺っていい上司だよなあ~。」ランス様が横から口を出す。
「ええ??」いきなり休暇って言われても・・・・。
「デルレイ。ナナオを迎えに来い。お前の代わりに私が10日間そっちに行くから。クロードとヴェラには話しておいてくれ。」
扉を開き、クロスビー商会に到着する。
ナナオが商会に出勤してくるまで時計を見るとあと5分。
扉がノックされ「おはようございます。アレンさ・・・・」と入ってきたナナオを見て俺は思わず抱きしめる。
「え?デルレイ??」腕の中で俺を見上げて驚くナナオ。
「今日で3ヶ月目だ。ナナオ・・・・迎えに来た」
「う・・・うん??アレンさんは?」
「王国。今頃ランス様と世間話でもしてるのではないか?」
「はあ?」
「10日間休みをもらった。ナナオ・・・会いたかった」
ナナオをぎゅっと抱きしめる。ちょっと苦しかったらしくナナオが身じろぎするので慌てて少しゆるめる。
「デルレイ、私も会いたかったよ。」ナナオの手が俺の背中をつかんだ。
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