7.昼食をご一緒に
実りあるお昼?の巻
私は一人、書庫兼倉庫の部屋をぐるりと歩いてみることにした。
代々のクロスビー家の当主は、整理はさぼったものの書類や書籍は書庫へ、物は倉庫へと分類はしていたようだ。
書庫部分と倉庫部分の中間に窓があって、その前の光がよく入る場所に机と椅子が置いてある。机のうえに、伝達石と時計を置いてバインダーに紙を何枚か挟み、とりあえずアレンさんの家でやったように整理していこう。エルシーさんからもらったアイボリー色のエプロンに手袋とペンを入れ、分類表を手に持ち作業開始。
見た感じ歴史関係の本が多そうなので、「歴史」からスタートだな。
それにしても<ブレドン王国の歴史>というタイトルだけで詳細版と概要、教科書に子供用まである。お世話になってる国だから、私もここから何冊か借りて読んでみようかな。
歴代の当主たちのことが書かれている<クロスビー家の歴史>、1枚の大きな紙に書かれた<クロスビー家家系図>デルレイの名前がないから、最近のではなさそうだ。
とりあえず、使っていない大きな机を発見したので、そこに「歴史」関係の本をどんどん置いていく。本をある程度分類できたら次は目録を作らなくちゃ。私が戻った後にも使いやすくしておかないとね。
ふと時計を見るとお昼。伝達石が光り、「ナナオさん。当主様が昼食をご一緒したいとのことですので部屋まで戻りましたら食堂までご案内します」とエルシーさんの声がした。
うーん、デルレイと食事か。どうせ断れないんだろうな・・・・。
案内されたのは、二人の距離がやたら離れている白いテーブルクロスのかかった長いテーブルのある部屋じゃなくて、普通のダイニングルームのような部屋だ。
「今日は仕事じゃなかったんですか」
「お昼を食べるのに戻ってきたんだ。進捗状況も聞きたいから、よほど忙しくない限り昼食も夕食も家で摂ることにした」
「あー、そうですか」
「・・・不服そうだな。」
「とんでもない。ちょうど、聞きたいことがあったのでよかったです」
「何か面白いものでもあったか」
「歴代の当主の皆様は歴史書がお好きだったみたいですね。歴史書がたくさんありました。あ、家系図ありましたよ。作ったのはアダルバード・クロスビーさんという方でした」
「アダルバード・・・というと、おれの曽祖父だな。100年以上前になるな。」
「そんな前のものだったのですか。とても状態がキレイですよ。持ってきましょうか?」
「あとで俺が見に行くよ。他には?」
「王国の歴史書から1冊お借りしてもいいですか?お世話になっている国ですから、歴史は知っておいたほうがいいと思うので」
「最新のもののほうがよくないか?俺が持ってるのを貸してやる」
「・・・・そーですか。ありがとうございます」
「・・・他に聞きたいことはないのか?」
デルレイは私に何を聞いてほしいんだろうか。魔道士の仕事内容とかかな?
側に控えてるヴェラさんを見ると、「仕事について聞いてやってくれ」と目が言っている。
「そーですねえ・・・・。あ、クロスビーの職業って魔道士だっけ。どんな仕事をするの?私のいた世界では魔道士という職業がないから、イマイチよく分からないのよね」
デルレイはわが意を得たりという顔をした。
「そうか。しかし、それはちょっと時間がかかるな。よし、今日の夕飯のときに話してやる。俺もそろそろ戻らないと遅刻してしまうからな」
・・・・・・なし崩しに夕飯を一緒に摂る約束をしてしまったよ。
読了ありがとうございました。
誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。
ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!
デルレイは意外と世話焼きな人です。
七生はプレッシャーに弱いです。