70.七生の休暇-4
七生、ちょっと寂しくなる。の巻
史子と会って数日後、公子伯母と会うことになった。やっぱり1週間の休暇で会いたい人に会っておくって結構大変。
公子伯母は父の姉で竹を割ったような性格で、下手したら私の父より男前だ。
長年秘書として働き、現在はダンナさんと悠々自適な生活を送っている。弟が産まれる頃、私は一時父の実家に預けられていた。
そのとき、祖母と当時独身だった公子伯母が私の面倒を見てくれた。弟が生まれた後も、母がどうしても弟の世話にかかりきりになってしまい父も仕事が忙しくて、蔑ろにされたと拗ねている私を励ましてくれたのも公子伯母だった。
そのせいか、私は母よりも公子伯母のほうに何かと相談事を持ちかけていた。高校や短大へ行くときも両親と話し合いはしたものの、公子伯母にも相談していた。
両親(特に母)は私が何もかも一人で先に決めちゃうと思っているかもしれないが、実のところ父はともかく母に相談するよりも公子伯母のアドバイスが的確だったのだ。
母は嫌いではないし、感謝もしているし労わりたいと思っているけどやっぱり短大卒業したあと花嫁修業→お見合いして父と結婚後はずっと専業主婦の母には、仕事のことは相談しづらかった。
伯母の大好物であり、私も大好きな例のモンブラン(オリジナルサイズ)を手土産に私は伯母を訪ねた。
伯母夫婦の家は閑静な和風住宅で、伯母のダンナさんが丹精に育てた植木があちこちに置いてある。結構な都会のはずなのに中はとても静かだ。雰囲気は違うんだけど、アレンさんの家と同じような空気が漂っている。
「いらっしゃい。七生・・・あら。買ってきてくれたの?」伯母はモンブランの箱をみて嬉しそうだ。
「一緒に食べようと思ってさ。ちゃんとオリジナルサイズだよ」
「あら。嬉しい。」
「おじさんの分もあるけど、今日はいないの?」
「植木同好会の集まりで、いないわよ。帰りは夜ね。」
「おじさんの植木、すごいよね。植物がいきいきしてる感じがする」
「ふふっ。七生が褒めてたって言っておくわ。喜ぶでしょうね。」
居間でケーキを食べながら、近況報告をする。
いつものことだけど、私が答える側だ。伯母にも史子に送ったのとほぼ同じ内容のメールを送っているので、やっぱり最初は連絡がとれないことをちょっと言われたけど史子に使った言い訳でごまかした。
史子と伯母の共通点はもう一つある。
「七生。あなた、出張先の国で恋人ができたでしょう」
この、人の異性関係に気づく早さだ。私は、そんなに分かりやすいんだろうか。
「伯母ちゃん、それ史子にも言われたんだけど・・・私、そんなに分かりやすい?」
「あら、史ちゃんからも?あらあら。」伯母はなんだか楽しそうである。
そして、なぜかこの話はスルーされてしまい、私は全然楽しくない。
今度帰ってくるときに、デルレイも一緒に来てくれるだろうか。私の大切な人たちに会ってくれるかなあ。
なんだか、デルレイの顔が見たくなってしまった。
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会いたい人にあったあと、一番会いたい人を思った七生でした。
次回からはデルレイの話です。