65.アレンさんと電話
七生、決断のときが迫る。の巻
部屋でアレンさんに電話をかけて、倉庫の業務が順調に片付いていることなどを話した。
「ナナオのおかげで倉庫も片付いてきているようですね。」
「はい。もう少しで終わると思います」倉庫の整理が終わるということは、私がこの世界にいる時間も終わるということだ。
「それは、よかったですね・・・・と言うべきですか?ナナオ」
「え?」
「デルレイから聞きました。あなたたちはお似合いですよ」
もしかして、デルレイがどうしても外せない用事って・・・・・アレンさんに私とのことを報告することだったのね。
「そ、それはありがとうございます」
「ナナオ。」
「はい」
「こちらに戻るかどうか、あなたの意思で決めてくださいね。周囲に流されてはいけません。」
「・・・・はい。あの、アレンさん」
「なんでしょう?」
「そちらに戻ったら、もう王国に来ることは出来ないのですか?」
「私かデルレイが一緒なら可能ですよ。」
「わかりました。仕事が終わるときまでに決めておきます」
「そうしてください。」
そういうと、アレンさんとの通話を終えた。
“ナナオ~、どうしたの?”電話を持ったまま考え込んでいる私を見たアマロが念を送ってきた。
私がここの仕事を終えたときアマロ、どうしよう。植物を持ち帰ることってできるのかなあ。今度、アレンさんに聞いてみないと。
“ん?ここの仕事が終わったあとのことを考えていたんだよ”
“ナナオはしごとがおわったら、どうするの?”
“もともといたところに、もどることになるわね。アマロも一緒に来る?こことはだいぶ違うけど、悪くはないわよ”
“ん~、かんがえとく”アマロは葉をさわさわさせた。
夕食のあと、デルレイに晩酌をしようと誘われたため二人で執務室に行った。
「今日、アレンさんに電話をしたときに元の世界に戻るかどうか聞かれたの」
「そうか。」
「周囲に流されないで、決めなさいって言われた」
「そうか」
私はデルレイにお酒をもらったものの、口をつけずに考え込んでしまった。
もともと私が生活していた世界には家族がいて、学生の頃からの親友もいる。
こっちの世界にも親友と呼べるような友達ができて、そして恋人がいる。
「迷っちゃうなあ・・・・」思わずポツリとつぶやいてしまう。
「俺は・・・・一度向こうに戻って家族や友人と会ってくるのもいいと思う」とデルレイ。
「え?」
「ご家族も友人もナナオの顔を見たら安心するだろう?」
「まあね。」
「だいたい、俺はナナオを手放す気なんてこれっぽっちもないから。あんまりナナオが向こうから戻ってこない場合は、迎えに行くからな。」
「なによそれ」私は思わず噴出してしまった。
「だから、ちゃんと考えろ。ナナオの決断を俺は支持するから」
一瞬、デルレイが自分を迎えに来て、それを見て慌てふためく実家の家族を想像してしまって私は少し笑ってしまった。
読了ありがとうございました。
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しんみりしすぎるかと思いきや、デルレイの俺様な発言で
薄まりました。