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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
第8章:整理係は今後のことを考える
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62.王都でデート-実践編-

七生、庭園に出かける。の巻


長文になります。ご了承ください。

 休日になり、なぜか屋敷の人たち総出で見送られて二人で屋敷から出かける。

 もらった“厳選・王都デート地図”は厳選と書いてあるだけあって、いろいろな場所が事細かに書かれていた。

 なかでも目を引いたのは王宮の庭園。どうやら庭園は一般公開されているらしく週末になると小規模なイベントが何かと開かれているらしい。

「デルレイは、王宮の庭園って行ったことある?」

「行ったことはないが、一般公開されたいきさつなら知っている。現在の陛下がまだ王子だった頃に“市民に憩いの場を提供したい”と庭園の中でも一番広い場所を公開することに決めた、と父から聞いたことがある。」

「王宮の庭園、ちょっと興味あるのよね。でも、デルレイはいつも出勤してる場所だもんね。そういえば、デルレイは仕事中の息抜きとかどうしているの?」

「ジュードのところに行く」

「は?ジュードさんは仕事中では?」

「俺の手が空いてると分かると、ベクラール家前当主のように用もないのに俺のところに顔を出したがる人間がやってくるのだ。それに応対するのが嫌でジュードのところに行ってる。」

 ・・・・・デルレイ、それは、ジュードさんに迷惑がかかってないのか?

「ジュードのところには、なぜかそういう輩は顔を出さないのだ。昔、ジュードに自分の娘を嫁がせようと画策した貴族がいたのだが、結果ジュードを怒らせてその貴族は領地を減らされた上に王宮永年出入り禁止になってな。

 それを知ってるせいか、ジュードに自分の娘や姪、姉妹をどうこうしようという度胸のある人間はあんまりいないのだ。」

なるほど。結婚話を避けたい男子の避難場所というわけか。


 デルレイは、私が王宮の庭園に行きたいと言っても特に反対をしなかったので今日は地図にも載っている王宮の庭園に行くことにした。

「そういえば、王宮に勤めていても庭園に行ったことはないな」デルレイがつぶやく。

「庭園で社交界のパーティーとかしないの?」

「しない・・・というか、最近行ってないから知らん。ナナオはパーティーとか行きたいのか?」

「行きたくないよ。あのお嬢様みたいのがうじゃうじゃいそうな場所なんて」

 それに、ロマンス小説の定番として、たいていヒロインはヒーローと一緒に社交界のパーティーに行くと、意地悪高慢令嬢と取り巻きに化粧室とかでばったりあって罵倒されるか自分がいるのをしらない令嬢の皆さんが自分の悪口を言ったりするのに出くわしたりしてるじゃんか。

 あとはヒーローが知らない女性と親しげにしてるのとか目撃したりとか変な男に襲われちゃったりするパターンもある。

「そうか。行きたくなったらエスコートしてやるからな。もっとも、俺はこうしてナナオと二人でいるほうが楽しいのだが」

 最近、デルレイはさらっと私が赤面してしまうことを言う。

「わ、私もデルレイと二人で過ごすの楽しいよ」ひえー、私に何言わすんだ。デルレイ。

「ナナオの顔は、すぐに赤くなるな。」私が赤くなるのをデルレイは見て、嬉しそうだ。


 到着した王宮の庭園は正式名称が「チェスター・ニコラス=ブリードン記念公園」らしい。ちなみにこの名称は今の国王陛下の名前だそうだ。なるほどブリードン王国の王様は苗字がブリードンなのか。

 庭園は以前にテレビで見たベ○サイ○宮殿に雰囲気が似ている。中央に巨大な噴水、周囲には樹木や彫刻、ちょっとした休憩所も点在している。

 私たちは、ぶらぶらと歩き出す。どうやらイベントで演奏しているのか、音楽が聞こえてくる。老若男女さまざまな人がこの庭園を楽しんでいるのがよくわかる。

 途中、ワゴンで販売している菓子と飲み物を購入しベンチに座り、私たちは人の流れを眺めた。

「いろんな人が楽しんでるね。素敵な場所だね」

「そうだなあ。ちょっと場所が王宮から離れてるから、休憩で来れないのが残念だ。」

「こういう場所にいると、デルレイの嫌いな人たちを避けられないんじゃないの?」

「・・・それもそうか。でも、たぶん、そういう人間はもう現れないから」

「そうなの?」

「あの令嬢が起こした騒動の話が社交界に広がってるからな。もっとも、意図して流したのだが。」

「え。それじゃあクラリスさんが辛いじゃない。なんてことすんのよ」

「いいんだ。流してくれといったのはクラリス・ベクラールだ。これで社交界と関わらないですむと嬉しそうだったぞ。もともと、上っ面だけの社交界が嫌いで出なくてすむ理由を探していたらしい。」

「はー。」

「俺も、ナナオが来る以前は退屈しのぎに社交界のパーティーに顔を出していたが今は興味ないな。」

「あー、社交界の美女をとっかえひっかえで華やかだったらしいねえ」ニヤリとデルレイを見る。

「・・・・ナナオ、忘れてくれないか。」デルレイが渋い顔をした。


 その後、庭園をぐるっと一回りしたら、さすがに疲れたため帰りは移動魔法でラクさせてもらった。ただ・・・移動魔法の際にデルレイが「俺もヒースみたいにしたほうがいいか?」などと聞いてきて、絶対に止めてくれと拒絶したら、すごくがっかりした顔をされてしまった。

 デルレイのがっかり顔にはいささか罪悪感を覚えたけど・・・だからといって、嫌なもんは嫌だ。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


恋人同士のデートのはずなのに・・・・糖度が低い。

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