55.目覚めた七生
七生の気持ち。の巻
「・・・ナオ。目を覚ませ」
遠くからデルレイの声がする・・・・まだ目を覚ましたくない気持ちもあるけど・・・・そろそろ起きないといけないのかなあ・・・・
そのとき、目の前が明るくなって、私はうっすらと目を開けた。
私が目を開けると、デルレイが私の顔をさわっている・・・・
「ちょっと・・・・なに人の顔さわってるのよ・・・・・」私がぼんやりと言った一言を聞いたデルレイは「よかった。目が覚めたか。大丈夫か?」そういって、私をベッドから起こした。
私は自分の部屋に寝かされていることに気がついた。
「デルレイ・・・いつの間に私、戻ってきたの?あ。ジュストさんは?」
「ランス様と一緒に王宮へ行った。」
「あれ?デルレイ呼んだら消えるって言ってたような」うん、確かにジュストさんはそう言ったのに。
「さすがに、事情を陛下に報告する義務があるからな。黙って消えるなんて許せるわけないだろう」
「そっか・・・・。デルレイ、ジュストさんは私を拉致したこと謝ってくれたし体調くずしてないか心配してくれたんだよ。あんまり重い罪にならなきゃいいけど・・・そんな悪い人じゃなさそうだし。お金に困ってなきゃこんなことしない人だと思う」
「ナナオが眠っている最中に、ジュストから事情を聞いた。確かに悪いヤツじゃなさそうだな。」
「あのお嬢様、人に仕事辞めていなくなれとか言うし。中途半端な状態でやめられるわけないのにさっ。デルレイ、あのお嬢様だけはやめたほうがいいって。」
「・・・・あんな手紙をよこす女は嫌に決まっているだろうが。だいたい、ナナオは俺がああいうお嬢様を選ぶと思っていたのか?」
「・・・・そうよね~。デルレイの好みじゃないし、あのお嬢様。」
「だから、俺の好みを勝手に決めるなよ。」
ふいにデルレイがイスから立ち上がった。
「ナナオ」
「はい?」
「ナナオが無事でよかった・・・・」そういうと、デルレイは私を抱きしめた。
「うん。心配かけて、ごめんね」私もデルレイの背中に手を回した。
「ナナオ、俺の側にいてくれないか?これからも」
「えーっと、・・・・」
「叔父上の元に一度戻っても、またこちらに来てくれないか」
「えっと、どうして?」デルレイの言葉に、私はフローラが言った言葉を思い出していた。
“断言してもいいわ。デルレイ、絶対ナナオを手放す気ないわよ”
私、ずるいけどデルレイにちゃんと言葉で言ってほしいと思ってる。
「俺は、ナナオが好きだから。俺が心に決めた相手というのはナナオだから・・・・」デルレイが私の顔を見て言ってくれて、私は思わず涙ぐんでしまった。
「ど、どうした??ナナオ??どこか痛いのか?」
「あのね。デルレイ・・・私ね、睡眠の魔法にかかる前に思ったの・・・・目が覚めたときにデルレイが側にいてくれるといいなって。私も、デルレイのこと、好きよ」
デルレイが顔を近づけてきたので、私も目を閉じた。
読了ありがとうございました。
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ようやく、ここまで来ました。
デルレイ、長かったねえ・・・。
長くしたのは作者ですが(爆)。




