54.デルレイと元魔道士-2
眠る七生。の巻
デルレイ視点です。
その屋敷に到着すると、俺はすぐにジュストの言った部屋を目指すべく再度移動魔法をかけた。
該当する部屋の前に到着すると、確かにナナオにかけた俺の魔力の気配がする。
ドアを開けると、そこにはベッドで眠っているナナオとその側に一人の男が座っていた。
「クロスビー魔道士ですか?初めまして・・・先ほどあなたに連絡したジュストです」
男は立ち上がって会釈をした。
「ナナオは?」
「ここに。」
ぐっすりと眠っているナナオはざっと見たところとくに乱暴に扱われていないようだ。俺はナナオを抱きかかえると、ジュストに一緒に屋敷に来るようにと告げた。
「え。俺がそちらの屋敷にですか?」
「そうだ。こんなところに長居をする気はない。事情は俺の家で聞かせてもらう」
「・・・・やっぱり黙って姿を消すことを許してくれないですよね」ジュストは諦めたようにつぶやいた。
「物分りがいいな。」
屋敷に到着すると連れてきたジュストをヒースに任せ、ナナオを部屋に運び奥様とフローラに世話を頼んだ。
執務室に戻ると、ジュストがランス様の尋問を受けていた。ヒースは隣で記録をとっている。
「令嬢には、どこで雇われたのだ?」
「私は普段、魔法使いとして占いや魔法道具などを作って生計をたててます。気ままな一人暮らしなので、そんなにお金はかからないのですが今月に限ってちょっと足りなくて。どうしたもんだかと考えているときに、あちらが声をかけてきたのです。私のことをどこで知ったのかはわかりません。」
「令嬢にはどんなことを頼まれたのか教えてもらえないだろうか」
「クロスビー家にいる整理係を自分の屋敷に拉致してこいと・・・それから追加料金で彼女を消すようにと依頼をうけました」
「なるほど・・・お、デルレイ。戻ったか。お前から何か聞きたいことは?」
「・・・ナナオを、彼女を傷つけなかったのは、血を見るのが嫌いだからという理由だけか?」
「・・・・・私は人を傷つけることは嫌いですから、彼女に何も魔法がかかっていなくても仮死状態にして逃がしていたと思います。」
「そうか・・・ランス様。彼に寛大な処分を。拉致は命令されたものだしナナオを助けてくれたので」
俺はランス様に頭を下げた。
その後、ランス様はジュストを連れて事の次第を陛下に報告するために王宮に戻っていった。
「デルレイ~、ナナオちゃんの部屋に行くんだろ?」とニヤニヤしながら耳打ちしていったのは、余計なお世話だ。
奥様とフローラにお礼を言って部屋から下がってもらい、ナナオの部屋には俺だけが残った。
ナナオはまだ眠ったままだ。
目が覚めたときに俺が側にいたらどういう反応を示すだろうか。「なんでデルレイがいるの?」とか言いそうだ。
「ナナオ、早く目を覚ませ」俺はナナオの顔に触れながらつぶやいた。
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ずーっとヘタレ気味だったデルレイが
少しはかっこよく書けてたらいいのですが。