45.うれしい知らせ
七生、思わぬ知らせにお茶を吹きそうになる。の巻
デルレイとの気まずい日のことは、お互いに忘れることにした感じになり、うやむやとなった。
それでも、私とデルレイの間には何かがひっそりと生まれた。でも私はそれに気づかないふりをしてる。
「3日後にヒースとフローラがこちらに来るそうだ。」夕食のときに、デルレイが突然告げた。
「え?ほんとう?久しぶりだねー」
ガラスの花騒動が起こったのは、もう3ヶ月前だ。フローラとは伝達石でよくしゃべっているが会うのはガラスの花以来だ。
「俺とナナオに大事な話があるそうなので、その日は仕事を休んでもらいたい」
「わかったわ。デルレイも休むの?」
「そうだな。有休たまってるし」
王国にも有休の制度があるのか、ほほお。
3日後、フローラをお姫様抱っこした格好でヒースたちが移動魔法でやってきた。
どこをどうつっこんでいいのやら・・・・フローラは何か諦めてるみたいだし、ヒースさんはお姫様抱っこが当然と思っているように見える。
やっとデルレイが「・・・・ヒースたちの移動スタイルは、いつもそれなのか?」と質問するので精いっぱいだった。
私がフローラを見て「えーっと、フローラ・・・・」と言いかけたら、フローラが「ナナオ。人間、妥協しておいたほうがいいときもあるのよ」と言ってきたので、なぜか納得。しつこく聞いても、なんか悪い気がするし。
「デルレイ、ナナオさん。久しぶりだな。」
「二人とも元気そうだな。とりあえず、応接間に行かないか?」デルレイの提案で、私たちは応接間に移動する。
向かい合わせでソファに座り、お茶を飲んで一息つく。
「それで、俺とナナオに話があると言っていたが・・・・」
デルレイが切り出すと、それまで悠然としていたヒースさんが突然緊張した面持ちになった。隣に座っているフローラは顔を赤らめている。
「うん。実はな、デルレイ・・・・」
「うん。なんだ」
「実は・・・・その・・・・」なぜかヒースさんが言いよどんでいる。
「ヒース。どうしたんだ」デルレイも不思議そうだ。
「実は・・・・・結婚することになったんだ」
「それはめでたいな。それで、誰が」
「・・・・俺とフローラ」
「・・・・は?」デルレイがヒースを見る。
私もお茶を噴出しそうになるのをこらえて、フローラを見る。いつも毅然としているフローラも顔が真っ赤だ。
応接間を沈黙が支配した。聞こえてくるのは時計の刻む音だけだ。
「おめでとう。ヒース、フローラ」デルレイが沈黙を破った。
「おめでとう。フローラ、ヒースさん」私も続く。
「ありがとう。それでね、ナナオとデルレイに披露パーティに出席してほしいの。招待状は改めて送るけど、その前に二人に報告したくて」
フローラは照れてるけど、嬉しそう。
「フローラ、喜んで出席するよ。ナナオは責任もって俺が連れて行くから安心してくれ」デルレイがフローラに言う。私もフローラを見てうなずく。
もし仕事が終わっていても、そのときだけこちらに来ればいいんだから。大切な友達をお祝いするんだもの、ぜひ出席したい。
一気に場が和やかになったときに、クロードさんが手紙を持ってデルレイのもとにやってきた。
読了ありがとうございました。
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七生とデルレイの前に不穏な影が現れる第7章です。
とはいえ、残酷な場面や痛いのは書けない作者なので
迫力不足なのを承知で楽しんでいただけると嬉しいな・・・
などと図々しく思っております。
フローラとヒースの結婚秘話(あるのか?)もそのうち書いてみたいなあ。