44. ある令嬢の執着
デルレイに執着している令嬢の独白。の巻
クロスビー様を見たのは、私が初めて出席したパーティーでした。当時社交界でも有名な美女の一人として有名な方と出席していました。
当時の私はまだ右も左も分からない子供でしたが、クロスビー様を見て一瞬で恋に落ちてしまいました。今はあの美しい方が隣にいるけれど、いつかは私が・・・・と密かに決意しました。
どうしてもクロスビー様に近づきたい私は、人を使って王宮内での様子を探らせたり、出席しそうなパーティーを探り必ず顔を出すようにしていたのですが、近づくことができませんでした。
幸いに私の家はクロスビー家とも釣り合う家柄。父に泣きついたところ、日ごろから私に甘い父はクロスビー様に私との話を持ちかけようと何度かしたのですが、あの方は毎日忙しく父は捕まえることが出来ず・・・・。
そこで父はクロスビー様の上司であるアイルズバロウ魔道士長に話を持ちかけたのです。しかし、アイルズバロウ魔道士長の返事は「クロスビー家は身分家柄など関係なく、好きな女性と家族になるのが決まりですから」と一言だけでした。
それでは私のことを好きになってもらえば・・・と思っていた矢先、突然クロスビー様が社交界に姿を見せなくなりました。王宮にばかりいてお屋敷にはあまり戻らなかったのに今では仕事が終わるとまっすぐ屋敷に戻られている。・・・・クロスビー様には好きな女性がいらっしゃる。しかも、今までのように連れて歩くだけの女性ではなく、本気の。
私はお金に困っている元魔道士を買収し、クロスビー様の周辺を探らせました。どうやら、あの方が好きな女は屋敷に新しく来た整理係。たかが整理係などにあの方を取られたくありません。あの方には私のような身分の女でないと釣り合いません。
しかし、当の整理係はめったに外出しないので接触する機会がない。歯がゆい思いをしていたところに、侍女からあの方と見知らぬ女が手をつないで市場で二人でデートをしていると報告を受けました。・・・・・その見知らぬ女がきっと整理係でしょう。
冗談ではありません。クロスビー様にふさわしいのは私に決まっています。なんとしても整理係の女を捕まえて、別れてもらわなければ・・・・・そのためなら、なんだってしてみせる。
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第三者の独白から始まる第7章です。
これだけじゃ読者様に申し訳ないのでもう1話17:00にUPいたします。