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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
第6章:思い出も不思議も倉庫の中に
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38.デルレイと雲の素

実はデルレイも使ってみたかった。の巻

 とりあえず「雲の素」は実物を見てから判断したい、とデルレイが言ったので「雲の素」の話はやめて、他に見つけたアダルさんの発明品のことを話した。

「花火の素:ばらまくとはじけて危険・・・・ほう。」

「飴玉みたいな大きさでね、20個くらい入ってるんだよ」

「・・・・・望まぬ来客があったときに、ばらまいてみるか・・・・」

「人に向けてばらまいちゃだめだよ。デルレイ」

「そうか?・・・・まあ、ランス様によけられると被害が他に及ぶからな」

 ランスさんにばらまくつもりだったのかよ、デルレイ・・・。

「飲んだら大変な惚れ薬・・・・へえ。」

「・・・・どうして、私を見るの?」

「いや。大変ってどうなるのかなと思ってな」デルレイがニヤっとした。

「さ、さあね。」どうして、私がどぎまぎしなきゃいけないのよ。

「ま、さすがにナナオに100年以上前の薬を飲めとはいえないな」

・・・・・私を実験台にするつもりかよ。


 次の日、倉庫に現れたデルレイに私は「雲の素」を見せた。瓶に入った雲の素は、調味料「○の素」みたいで、微妙に懐かしい。

「これを振りかけると、物体が浮くのか。しかし、量がわからないな」

「そうなのよね~、ちょっとだときっと、少し浮く程度なんじゃないかと。大量だと浮いたままなんてことになりそう」

「もしくは、全く浮かないということも考えられる。ナナオは期待しすぎだ。」

「そうかなあ。だって、アダルさんてすごい魔道士だったんでしょう?」

「魔道士だからって、全てが優れているわけではない。」

「あ、デルレイ見てると、それは分かるよ」うん、よく分かる。外面がよくてお嬢様方の憧れかもしれないが、実物は傲慢で口の悪い失礼な男だと声を大にして伝えてやりたい。

「・・・話し合う必要があるな。しかし、今はこれが先か」デルレイは右手で瓶をとり左手でラベルに手をあてた。

 すると、ラベルが青く光った。え~~、なに。そんな仕掛けがこのラベルに??私がさわっても何も起こらなかったのに!!

 デルレイは「やはりな」とつぶやいて光を消した。


「ナナオ。」

「はい?」

「このラベルには後の当主に宛てた伝言が隠されていて、当主にしか使い方を伝えないようにしてあるようだ」

「デルレイはさっきの光で、それを読み取ったの?もしかして、他の瓶もそういう仕掛けがあるの?」

「あるだろうな。曽祖父も人騒がせな性格ではあっても、クロスビー家当主で王家につかえる魔道士だからな。それくらいの配慮はするだろう」

「そうだよね。これってどうやって使うものなの?」

「瓶に書いてあるとおり、浮かせたい物体に振りかけるだけだ。」そういうと、デルレイは机の上にある紙を一枚手にとった。

 デルレイが瓶を開けて白い粉を指で一つまみし、紙に振りかけた。すると、紙の周りにふわふわと白い繊維が表れ、たちまち紙をふわふわした物体に変えてしまった。

 小さい雲となった紙は、デルレイの手から浮き上がっている。

「浮いた・・・・」

「浮いたな。」

「でも、これどうやって戻るの?」

「ああ。これくらいなら」デルレイは息を紙にふっと吹きかけた。繊維はたちまち吹き飛んでただの糸くずになり、紙はもとの紙にもどった。

「こんな感じだ」

「は~」

「もっと分量を多くして、じゅうたんなどに振りかけるとたぶん、曽祖父が騒ぎを起こしたサイズになると思う」

「へえ・・・・面白いね。でも、実際に飛んだら騒ぎになるよね」

「そうだな・・・・でも、ちょっと興味はあるよな。庭園で少しだけ使ってみるか?」

 どうやらデルレイも使ってみたかったらしく、実験することが決まった。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


次回、雲の素を使う「実践編」です。

果たして人を乗せて浮くのでしょうか。


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