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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
第4章:好奇心は整理係を巻き込む
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26.ガラスの花始末―おまけ1

ガラスの花の正体は。の巻


「おまけ」ですが1話予定のはずが、あまりに長くなってしまい2話に分けました。

 1週間後、第二支店は店を閉じた。ティーロさんはコンラートさんの口利きで北の肥料問屋で働くことになった。ニコラさんとカミラさんも一緒に行くらしい。

 あんなに話題になったガラスの花も、第二支店が「ガラスの花は展示を終了しました」と掲示して3日もたつと、人の噂にのぼらなくなった。もともと、一度見れば充分という人が多く並んだのではないか、というのがデルレイの見解だ。

 

 第二支店の後始末を終えて、フローラが帰ることになった。

「そういえば、本当に東の眠れる森にガラスの花なんてあるのかしら」ふとフローラがそう言い出したとき、私とデルレイは思わず顔を見合わせてしまった。

「どうしたの?二人とも。」不思議そうな顔をするフローラ。

「デルレイ。フローラには教えてもいいんじゃないの?」

「・・・・そうだな。この騒動の当事者だしな。知る権利はあるだろう」

「なに?どうしたのよ?」

 私は黙って、ワイアットさんの旅行記を該当のページまでめくってフローラに手渡した。

「フローラ、ここのページを読んでみてくれる?」

「ええ・・・」フローラは読み始めた。

 フローラが、読み進めていくうちに笑いをこらえているのがわかった。苦い顔をしたデルレイを見て、耐え切れず大笑い。

「ぷぷっ・・・デルレイ・・・・あなたの先祖って面白いのね・・・・くくくっ・・・・・」

「笑うな。フローラ。ナナオもつられて笑うんじゃない。」デルレイに怒られてしまったけど、でもおかしいんだもの。フローラにつられて笑ってしまってもしょうがないじゃない。

「クロスビー、実物をぜひ見たいわ。持ってきてよ」

「そうだよ。みせてあげなよ、デルレイ」

 私たちに言われてデルレイは渋々実物を取りに部屋の奥に行った。

「・・・それにしても、ガラスの花がデルレイの家にあるなんてね~~」

「私も、初めて旅行記読んだときは驚いちゃって。ガラスじゃなくて巨大な水晶だったなんて。」

 

 ワイアットさんは、探検が好きで冒険小説を書く小説家でもあった。東の森にも探検目的で訪れ、当時の村長の息子がワイアットさんの作品のファンで一緒に森に行くことになった。

 すると森の奥に洞窟を発見。探検好きのワイアットさんは当然中に入り、洞窟を進んでいった。そこで巨大な水晶と周囲をアザミのような形をした透明な水晶と紫水晶が無数に囲んでいる場所を見つけた。

 まるで花畑みたいだから、ここにある水晶たちをガラスの花と呼ぼうと村長の息子とその場のノリで決めて、記念品にと二人して巨大な水晶の欠片をそれぞれ持ち帰ってきたらしい。

 その後、あの水晶を保護するため「神様が眠る場所だから入ってはいけない」とか伝説っぽくしようと息子と相談のうえ決めて、人間が入らないようにしたらしいのだ。

 その後、どんどん噂がバージョンアップし現在の「東の眠れる森にあるガラスの花伝説」になっていったらしい。

 ワイアットさんは、水晶の欠片を魔力判定装置にするため魔術を施した。そしてクロスビー家で現在に至るわけだ。


「ほら。これがガラスの花の欠片だ。」デルレイが、フローラの前に魔力判定装置を出した。

「へえ。これが、ガラスの花の正体・・・」フローラが手に取ると石が緑色に光った。

「フローラが第二支店と話し合うときに、負けそうになったらワイアットの旅行記を出そうと思っていたんだ。でも、今では出さなくて安堵している。王国で知られた伝説の正体を暴かなくてすんだからな」

「そうねー、デルレイのご先祖って・・・面白いわよね」フローラが思い出し笑いをした。

「うるさい。フローラ。あ、そうだ。お前が今日帰ることヒースに連絡しておいたからな。移動魔法で迎えに来るって息巻いてたから、もう少しゆっくりしていくように」

「ちょっとクロスビー!!なんてことしてくれるのよ。」

 二人の会話に出てくるヒースって誰?私がきょとんとしていると、デルレイが「ヒースって言うのは俺と同じ魔道士。俺とフローラの同級生で、フローラの恋人だ。フローラがこっちに来てすぐ、ヒースから“フローラが帰る日を教えろ”と連絡がきたんだよ。おまえ、ヒースを振り切って来たらしいな。」

「・・・・わかったわよ。ヒースと一緒に帰るわ。」フローラは一人で帰ることを諦めた。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


ガラスの花・・・オチは「青い鳥」っぽいです。納得いかなくても、そのままスルーしてくれるとうれしいです。

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