19. フローラの用事
フローラの語りその1。の巻
長文になります。ご了承ください。
「内密の話をしたいんだけど、どこかいい場所ないかしら」フローラさんは、デルレイにたずねた。
デルレイはしばらく考えた後、「じゃあ、俺の屋敷だな。ナナオ、移動魔法で帰るぞ」と私に言い、 フローラさんには「フローラは俺の屋敷まで、移動石でいけるな。」と確認していた。
「デルレイ、移動石ってなに?」
「移動魔法が出来る石だ。」お~、ど○でもドアみたい。いいなあ~。
「言っておくが、ナナオには移動石はやらんからな・・・・すぐあちこち一人でふらふら出かけそうで心配だ。」
なぜ私の行動を読む。デルレイ。
デルレイの屋敷に着くと、クロードさんはフローラさんを見て「お久しぶりです。クレヴィング様。」とお辞儀をした。
「クロードさん久しぶりね。あとでバジルさんにも挨拶しますから。」
フローラさんは、何度もここに来たことがあるんだな。もしかしてデルレイの恋人もしくは元カノ?だとしたら、デルレイが私をみてがっかりしたのも分かる。うんうん、分かるぞ。
デルレイの執務室に入りフローラさんが帽子をとると、えんじ色のつややかな巻き毛があらわれた。
3人がそれぞれ椅子に落ち着くと、デルレイが私をフローラさんに紹介した。
「ナナオ・サクラギだ。書庫と倉庫の整理係をしている。ナナオ、フローラは俺の学生時代の同級生だから、同じ歳だな。」
私とボンドガールのようなフローラさんが同じ歳。見えない・・・。日本人が童顔だってのは本当なんだな。
デルレイからそれをきいたフローラさんは「同じ年齢なら、もっとくだけた口調で話さない?初めまして。フローラ・クレヴィングよ。クレヴィング商会を経営しているの。それと、私のことはフローラって呼んで」
私はフローラさんを見て、「初めまして、ナナオ・サクラギよ。じゃあ私のことは、ナナオって呼んで」と挨拶した。
お互いに自己紹介が終わったところで、フローラが話を切り出した。
「ねえ、ナナオ。どうしてガラスの花が偽物だってわかったの?」
「え。えーっと・・・」植物系の魔力があるから分かったって言っていいのかな。私はデルレイをちらっと見た。
「ナナオは、植物系の魔力があるんだ」デルレイが代わりに言ってくれた。
「まあ、そうなの?私と同じね。」
「フローラも持ってるの?」
「ええ。うちの仕事にはぴったりだと思わない?」にっこりと笑うフローラ・・・・美人だ。美人にクラっとする男子の気持ちが今なら、よーくわかる!!
フローラにうっとりしている私を見て、ため息をついたデルレイは「それで、フローラ。内密の話ってなんだ」
内密の話なら私はいないほうがいいかと思って「デルレイ、私はそろそろ仕事に戻らないと」と言ってみた。
すると、デルレイが「何を言う。ナナオは既に関係者だ。」と当然のように言う。
「は?内密の話となると部外者の私はいないほうがいいじゃない」
「ナナオ、あなたにも話を聞いてもらいたいの。」フローラさんはまたまたにっこりと笑った・・・・。
「ガラスの花の件は、第一支店から連絡もらったの。第一の人に頼んで花をこっそり伝達石で撮影してもらって、画像を本店で調べたら西の砂漠に自生している希少植物だってわかったの。無断で希少植物を持ってきた時点で犯罪でしょう?おまけに詐称して展示なんかしてるし。今はまだ町の話題程度だけど、王宮までいったら・・・クレヴィング商会の信用に傷がつく事態になる可能性が高いわ。
第二支店は私の家族が経営してて、今まで面倒を見てきたんだけど・・・もう面倒見切れないから、家族関係解消の手続きをしようと思って王都に来たの。
デルレイ、こんなこと頼みたくないんだけど、第二支店の調査と同時進行で手続きをしておきたいの。どなたか宰相府に知り合いはいないかしら。」
王国にはそんな制度があるのか・・・。でも、フローラさんはそれでいいの?
「フローラ。家族関係解消の申し立てをして受理されると、取消ができないのは知っているよな。いいのか?」デルレイがさして驚きもしないでフローラさんに聞いた。
「いいわ。私が家族と思っているのは商会の前会長の祖父だけだもの。」
フローラさんは、迷いのない強い口調でデルレイに答えた。
「・・・わかった。フローラ、手続きが済むまで屋敷に滞在するといい。明日、宰相府のクラドック事務官に来てもらうように頼もう。ナナオ、つき合わせて悪かったな。仕事に戻ってくれ」
デルレイはそう言って、私とフローラさんに部屋から出るように促した。
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フローラの語りはあと1話続きます。




