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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
第4章:好奇心は整理係を巻き込む
20/98

17.“聞き耳アンドレア”の本

七生と“聞き耳”の本。の巻

 自分に魔力が発覚したからといって、私の日常に変化はない。さくさくと歴史書の目録を作り、本の分類を進めている。ただ、デルレイが顔を出す頻度が週1~2回だったのが3回に増えた。

 どうやら自分の家の書庫に貴重な資料がわんさかあることに気がついて仕事に利用しているらしい。私としても、自分が整理した資料が誰かの役にたつのは嬉しい・・・が、デルレイ。 

 毎度毎度「ナナオ、悪いけど仕事に関する資料探しを手伝ってくれないか?」と声をかけて人の仕事を中断するってのは、どういうことだ。

 今日は珍しくデルレイが顔を出さない。書庫の整理がはかどるぞ、ブラボ~。クロスビー家の当主は歴史書が好きだったみたいだけど、自分で記録をするのも好きだったらしい。自分が食べて美味しかったものの記録や覚えた魔法のリスト、中には街で聞いた不思議な話を記した人もいた。

 この不思議な話を書いた人は、アンドレア・クロスビーさん。アダルさんの書いた家系図によれば(デルレイに見せた後、すぐ見られるように額縁に入れた)、アダルさんのお母さんで女性ながら当主だったらしい。

 デルレイが面白そうな本があったら見てみろと言ってくれたので、その言葉に甘えて休憩時間にページをめくってみた。

「夜中12の時に街中で踊る舞姫」

「王宮の開かずの間」

「湖水地域に現れる青い服の男性」

・・・・これは怪談集なのか?

 なおも、目次を追っていくと「眠れる森に咲いているガラスの花の話」というのが目にとまった。

眠れる森といえば私のいた世界では美女だけど、この国ではガラスの花らしい。

-王国の東には樹木がうっそうと茂り、人の侵入を拒む森が広がっている地域がある。近くの村人たちは“この森は神様が休む場所”と言い、“眠れる森”と呼び誰も近づかない。村の長老いわく、眠れる森にはガラスの花が咲いているらしい。その花を見た者は誰もいないらしいが、その花を見ると恋愛の願い事がかなうという話が伝わっている。見たこともないのに、誰が言い出したのか不思議である。-

私のいた世界にもさわると病気が治る石とか、願い事がかなう井戸とかあるけど・・・似たようなものか?


「デルレイは、眠れる森に咲いているガラスの花って知ってる?」

 一緒に夕食をとり、最後のお茶を飲んでいるときに私は何気なく聞いてみた。

「なんだそれ?」

「書庫で見つけた本に書いてあったんだよ。アンドレア・クロスビーさんという人が王国で伝わる不思議な話をまとめて書き残してあるのを見つけたの。ちなみにアンドレアさんは、アダルさんの母親。女性の当主だったんだね。」

「“聞き耳アンドレア”か。とにかく不思議な話に目がなくて、自ら不思議な話を聞きに国中を回ったそうだ。」

「へ~、行動力があるんだ。デルレイだったら“話を聞かせろ”とか言って呼びつけそうだよね」

「・・・・何気に失礼だな、ナナオ。俺はそんなことしないぞ。」

「あ。そうだっけ。そりゃ失礼」

「眠れる森の話を聞かせろ」

 やっぱり“聞かせろ”って言うじゃんか・・・私は内心そう思いつつ、書かれていた内容を話した。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


新しい章です。

またもや七生が見つけた書物で何かが起こる??

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