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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
第1章:王国へゴー!!
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1.失礼なオトコ

プロローグから1年後になります。

『』内の会話はブリードン語

「」内の会話は日本語です。

 クロスビー商会に入社して、1年が過ぎた。クロスビーさんと仕事をするのは、とても楽しい。

 電話やメールは時々しか来ないのでそっちの仕事はあんまりなくて、メインはクロスビーさんの家にある珍しい品物の管理だ。ブリードン語も、クロスビーさんから抜き打ちテストをされたりして日常会話と読み書きに困らなくなった。

 仕事が特にないときもあって、そういうときはクロスビーさんが庭にテーブルを出してお茶をするので、ご相伴に預かる。クロスビーさんの庭は亡き奥様が丹精こめて手入れをしていたらしいけど最近は忙しくて手入れができないらしい。

 私も暇なときには草むしりをしたり手入れをすることにしてるけど、この庭がよみがえったら、さぞかしきれいだろうな。

「桜木さん、私のことはアレンと呼んでくださいね。私もナナオと呼びますから」

「上司を名前で呼ぶんですか?できませんよ。」

「貿易相手にクロスビーという名字が多いんですよ。区別できないでしょう?」

「なるほど。わかりました。」

 そういう理由があるなら、と私はクロスビーさんをアレンさんと呼ぶことにした。


 それから数日後、私はいつもの時間にクロスビー商会用に使っている部屋のドアを開けた。

「おはようございます。アレンさん。」と言ってドアを開けたところ、アレンさんの他に若い男性が立っている。

 アレンさんの20年前ってこうだったんだろうな・・・息子か?髪の毛の色は同じだけど、瞳の色はコバルトブルー。

 私がその人をじっと見ているように、その人も私をじっと見ている。

「アレンさん、・・・こちらは、どなたですか?」

「おはよう、ナナオ。これは私の甥で、デルレイ・クロスビーといいます。」

『叔父上、俺にも分かる言葉で話してもらえないだろうか・・・美人だって言うから期待してたのに』

『デルレイ、お前失礼だぞ。ナナオは仕事もできるし美人だ。』

『そうですか?仕事はできるかも知れませんが、叔父上と私とでは美意識が違うようだ』

 デルレイさんは私が分からないと思ってしゃべっているようだけど、こっちはばっちり分かるんだ。悪かったな、美人じゃなくて。アレンさん、こんな普通の顔を美人と言ってくれてありがとう。


『すみませんね。美人じゃなくて。アレンさんがフォローしてくれてなかったら、あなたのすねには今頃、私の5センチヒールキックが炸裂しているところですわよ』

 私がにっこり笑って二人の会話に割り込むと、デルレイさんは『な??おまえ、言葉が分かるのか??』と驚いた。

『オマエじゃなくて、ナナオ・サクラギという名前がありますの。言葉はアレンさんに教わりましたから日常会話に不自由しない程度にしゃべれるようになりましたし、読み書きもできます。わからない言葉でしゃべられるのがイヤなら、あなたもこちらの言葉を覚えたらいいわ』

『う・・・・生意気なやつ。どうみても俺より年下のくせに』

『あなた、年齢はいくつですか』

『32だ』

『あら、同じ年齢ですわね。』とニッコリ笑うと、失礼なオトコ・デルレイは『げ』と言ったきり絶句してしまった。

 その頃、私たちの会話を聞いていたアレンさんが、とんでもないことを考えていたなんて、そのときは全然気がついていなかった。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


いきなり失礼なオトコですが・・・これがヒーローなんです。


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