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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
第3章:好奇心は整理係を困惑させる
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14.整理係とアマリアローズ、そして魔道士

七生はあだ名好き。の巻


長文になります。ご了承ください。

 あれからバジルさんに栽培方法を聞いて、私はせっせとアマリアローズの世話を続けた。

 さすがに書庫には持ち込めないので、仕事中は温室のすみっこに置かせてもらい休憩時間に様子を見に行っている。

 そういえば、ここのところデルレイの姿を見かけないけど、王宮の仕事が忙しいんだろう。デルレイに邪魔されない分、仕事が進むのはいいけどデルレイと会話しながら食べる夕食はなかなか楽しいので、それがないのはちょっと寂しい・・・か?

『どうして疑問形になるかねえ、わたし』と独り言などを言ってみる。


 アマリアローズ(通称アマロ)は茶色がとれてだいぶ緑が出てくるようになった。

 その回復力はバジルさんも驚くほどで、逆に「いったいどうやって甦らせたのか?」と聞かれて、まさかアダルさんの書いた本に載ってた方法とは言えず、私のいた所のやりかたをやってみたんですーってごまかした。

仕事の合間に一息つきたくなって私はアマロの様子を見に温室へ行くことにした。

「は~、今日も気持ちのいい天気だねえ。」と誰もいないのをいいことに思いっきり伸びをする。

「人がいないからって、外で伸びをするんじゃない」と不機嫌そうな声が。

「あら、デルレイ。久しぶり~」デルレイの機嫌なんざ、どうでもいいので適当に返事をする。

「仕事はどうした。」

「順調だよ。歴史書の目録を書き始めたし、他の本の分類も進んでる。アレンさんところの仕事も気になるからさ。なるべく早く帰れるように頑張るよ、私」

「・・・・そうか。で、ナナオはこれからどこ行くんだ?」

「温室に行くんだよ。デルレイは?」

「俺は、仕事にメドがたったから戻ってきた」

「ふーん。じゃあ方向が逆だね。じゃあね」と私は庭園の方向に歩いていこうとした。

「待て。俺も行く。」なぜか、デルレイがついてきた。

 デルレイ、来た道をわざわざ戻るなんて庭園に用でもあるのか。あれか、目的地まで来てから忘れ物に気づくっていうパターンか。よくある話だよな。

「ナナオは温室によく行くのか?」

「まあね。アマロを預けてるから」

「アマロ?」

「アマリアローズ。バジルさんにもらったの。かわいいのよ」

「そうか」


 バジルさんは、私だけでなくデルレイが来たことにちょっと驚いたけど、特に何も言いはしなかった。

「こんにちは、バジルさん。ちょっと様子を見に来ました」

「こんにちは。ナナオさんのアマリアローズは、もしかしたらそろそろ花の部分ができてくるかもしれないよ」

「ほんと?確か花って、いい香りがするのよね。」

「そのまま部屋に置くといい香りが部屋中にするはずだよ」

 私とバジルさんがアマリアローズ談義に花を咲かせている間、デルレイは “久しぶりに来た”なんて言ってキョロキョロしている。

 アマロは、バジルさんの言うとおり花になる部分がふくらんできている。二人に聞こえないように「もう少しできれいな花が咲くわね」と、なでながら話しかける。そして手入れをして仕事に戻ることにした。

「バジルさん。私、そろそろ仕事に戻ります。仕事が終わったら引き取りにきます。デルレイは、まだしばらくいるんでしょ?」

「あ・・・ああ。」

「じゃあね。さあ、午後もみっちりこもって仕事仕事」私は温室を出て行った。





-その後の温室での会話-

「坊ちゃま・・・・俺も一緒に戻るって言わないと」

「言いそびれた・・・・バジル、いい加減“坊ちゃま”は辞めてくれよ」

「奥様をもらうまで、坊ちゃまと呼ばせていただきます。ナナオさん、仕事が終わったら帰ってしまいますよ?」

「・・・言われなくても分かってる。」

「いつもお嬢さん方を口説いているみたいにしたらどうです?」

「ナナオにそんなことできるもんか」

「いったいどんな口説き方をしてるんですか。とにかく、ナナオさんに坊ちゃまの気持ちは通じてませんよ」

「それも知ってる・・・やっぱり最初の一言がまずかったんだろうか。許してもらえたようだが」

「許すのと、恋愛対象としてみるのは別ですからね。それくらい、お分かりでしょうに」

「・・・・」

「コツコツ頑張ることですな」


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


最後にちょっとだけデルレイの現在の心境をいれてみました。

それにしても、デルレイはどんな口説き方をお嬢様方にしているんでしょうか。



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