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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
第3章:好奇心は整理係を困惑させる
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13.整理係とアマリアローズ

七生と観葉植物。の巻

 庭師のバジルさんはデルレイが子供の頃から屋敷で働いているおじさんで、デルレイのことをいまだに「デルレイ坊ちゃま」と呼んでいる。

「バジルさん、こんにちは」

「こんにちは、ナナオさん。休憩中かい?」

「はい。バジルさん、お願いがあるんですけど。観葉植物を一鉢部屋に持っていってもいいでしょうか?」

「観葉植物?」

「はい。だめでしょうか。」

「今は特にオススメのが無いけど、いいのかい?」

「はい。見せてもらってもいいですか?」

「そうか。そんなら、こっちだ」私はバジルさんの後についていく。

 鉢植えの植物は庭園の一角にある温室にある。大小さまざまな植物が並ぶなか、私はお目当ての鉢を見つけた。

「バジルさん、これもらってもいいですか?」

 私が指したのは葉が茶色くなりかけている20センチくらいの低木だった。

「へ?これでいいのかい?これはアマリアローズという常緑低木で、葉はお茶や薬になるんだけど、この木だけうまく育たなくてなあ・・・。といって、処分するのもかわいそうで」

「これでいいです。仕事が終わったら取りにきます」


「ナナオさん。これ、アマリアローズですか?」

 私が部屋に持ち帰った鉢を見て、エルシーが驚く。

「そうだよ。バジルさんにもらったの。」

「葉が少し茶色いですね。枯れかかっているのでしょうか。」

「どうなんだろう。でも、ちょうど観葉植物置きたかったし、大きさも手ごろだし。」

「アマリアローズは、うすいオレンジ色の小さな花が咲くんですよ。その花がいい香りで。葉はいろいろ使えます。」

「へ~、そうなんだ。いい香りってどんな感じの香り?」

「そうですね。私の感覚ですがリラックスする感じの香りがします」

 ほほう。それはキレイに育ったら部屋に置いておくのにぴったりじゃん。よし、いっちょ頑張ってみようじゃん。私はエルシーに見られないようにほくそ笑んだ。

「ナナオさん。当主様が今日はこちらに戻らないので夕食はご一緒できないとクロードさんから伝言がありました」

「そうみたいね。出勤前にわざわざ書庫に顔出して言ってたよ。意外と律儀だよね」

「まあ・・・。」エルシーさんの目がなんだかキラキラしている。

 この話のどこにキラキラ要素があったのかな?私は疑問に思いつつも顔に出さなかった。


 夕飯後、私は改めて本を手に取り、アマリアローズの鉢に近寄った。

<植物にたいする魔力を鍛える方法>の項目をめくる。<まず、その植物がよく育ったイメージを頭に浮かべましょう。以前に見たことがない場合は、自分の知っているきれいな植物をイメージしてみましょう>

 ふむ。アマリアローズを見たことがない私は、ちいさくてきれいな花ということで自分の育てていたシルクジャスミンの花を思い浮かべた。自分がこちらに来る前にアレンさんの庭の温室に置いていったけど、今はどうなっているかなあ。こっちに持ってくることは可能だろうか。

 さらにページをめくると<イメージを思い浮かべながら、枯れている部分をなでてみましょう。その際に、植物に話しかけるのが大事です>とある。

 植物に話しかける・・・・それならよくやってたな。「キレイに咲いてね」とか「いい緑色ね」とか。そういや、モトカレの一人がそれを見てドン引きしたあげく破局の原因になったんだっけ。

<そして、その植物に適した方法で世話をしてあげることです。魔力がある人なら2~3週間くらいで見事に甦るはずです>とある。

 そういえば、バジルさんに栽培方法聞くの忘れちゃったよ。・・・・初歩的ミスに気づいた夜だった。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


アマリアローズ、というのはジャスミンに似ている低木という設定です。

七生の好奇心が変な方向に行ってます・・・。

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