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五 名乗り

 五 名乗り


 北と南の門に足軽を二十づつ配置し守らせた。


 残りの三十は主従の寝所となっている宿所と本坊の周りに配した。敢えて分散したのは信長の居場所を探し当てられることを出来るだけ遅らせる為である。


 信長旗下の主立った武将は他国へ出征しているか、自国にて兵を準備をしており、このたびの朝廷訪問のための上洛には、小姓二十と馬廻衆、足軽の七十しか連れて来ていない。


 長子の信忠は、やはり少数の部下を連れ北の妙覚寺に泊まっている。連絡をしたいが、外に出れば槍襖やりぶすまと鉄砲になにびとも通れないだろう。事実、このとき光秀の四千の兵が二条御所と妙覚寺に向かっていた。


 乱丸は寝間着の白帷子しろかたびらの上に鶴の丸紋の入ったくろ梅色の小袖を纏い、堂を出でて北門に走り扉の後から叫んだ。


 若干、十七歳であり、信長の寵愛によってをのこの無骨な体への変化が遅れている喉の声は高く響いた。


「門外にお集まりの方々にもの申す。我は森乱丸長定である!ここは御屋形様の御座あらせる所なれば、斯かる狼藉は何事ぞ!」


 門外では一瞬騒々しさが消えた。だが次に、


「我が名は惟任これとう日向守ひゅうがのかみ(明智光秀)の先鋒、三宅孫十郎、見参仕る!」


「我ら(我と同じ)は四天王又兵衛!」


「藁地甚九郎の兵ならむ!」


と口々に叫ぶのが聞こえ、直後に山門の扉に大木槌が打ち突けられた。



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