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さっきっぽん②ーさっきっぽんで さぁ 一本!ー

さっきっぽんはここら辺のお店なら何処にでもある_。

私は、桃知田 小春(ももちだ こはる)春明高校(しゅうめいこうこう)2年。

お母さんとお父さんが中学生の頃(私くらいの頃)にはもうあって、よく買い食いして先生に怒られてたらしい。

私もさっきっぽんは大好きだけど滅多に食べない。

なぜなら私は女子ダンス部だから(男子も含めてダンス部とまとめてあったけど、何年も前から男子の入部がぴたりと止まったので女子ダンス部としてある)。

他の子はどうなのか分からないけど、私は、体型とか色んな部分を含めてダンスがより良く見えると思うから自己管理を怠らない。

でも、練習の差し入れにさっきんぽんを食べるのが大好きだ。

さっきっぽんは昔からよく学生が食べるから、最近は“青春”をテーマに掲げている。

キャッチコピーは

<さっきっぽんで さぁ 一本!>

一本ていうのは、大体さっきっぽんは分けて食べるからの1本と、色んなスポーツで、一本とる、とか、一本決める!とかよく言うから上手くかけてあるのだ。

私の住む地域春明(しゅうめい)はスポーツが強いので、○○(スポーツ名)春明大会がよく開催される。(大抵、どのスポーツの大会でも3年の引退大会となる。)

もちろん、他所から来る人も頑張るけど地元の私たちは特に真剣に練習を重ねる。

今年の3年生は実力もあるし、指導力も高いけど、何より怖い。

同級生、後輩、関係なく、どんどんミスを指摘していく。

普段の私ならもっとやれるはずだけど、先輩の最後だから、ミスしないようにしなきゃと考えるうちにどんどん空回って上手くいかない。

それでも時間は過ぎていく。

―――――

大会前日。

3年生が前に立ち、後輩は座って3年生を囲む形で話を聞こうとしていた。

「みんな、ありがとう。」

3年生の中でも1番と言える厳しさを持つ主将がボロボロ泣きながらそう言ってきた。

ほかの3年生はそれに釣られて泣き出して、後輩の私達はキョロキョロしながら困惑していた。

息を整え、主将がまたゆっくりと話し出した。

「みんな厳しい練習にも文句一つつけずに付いてきてくれたし、やればやるだけ上達してくれたから、期待してどこまでも厳しくしちゃった。本当にごめんね。」

嗚呼、そうか。3年生はただ厳しい怖い先輩じゃなくて、むしろどこまでも優しかったのだ。

私は、いてもたってもいられなくなって立ち上がり口を開いた。

「先輩がっ!」

3年生がとてもびっくりしていた。でも、構わない。

「先輩が、居てくれたから私達はその背中を目指してどこまでも頑張ってこれました。文句一つ付けなかったんじゃないんです。つける必要が無かったんです。」

「だって、毎日毎日、暇があれば練習していたし、私たちがどうしてもできない振り付けはどう教えてあげればいいかって顧問(せんせい)に相談したりしてくれたから、私達はっ」

いけない。ここで私が泣くのは場違いだ。

「私達は今大好きなダンスを楽しめてます。入部したての頃は初心者も多くて、なんだこの動きは?ってなってたのに、今じゃそれを後輩に教える側にたっていました。」

同じ2年の帆乃(ほの)が言葉を繋げてくれた。

「私も!」

「私は…」

2年も、1年も関係なく、先輩にお礼を、感謝を、伝えていった。

気づけばみんなボロボロ泣いていて、先輩は呆気にとられていたのにすぐに表情を戻して、

「こりゃあ、私たちには贅沢な後輩もらっちゃったな!」

って副主将の言葉を筆頭にして、負けじと後輩に激励や、教えをしていった。

みんな一通り落ち着いたところで、

先輩がガヤガヤし出した。

差し入れにさっきっぽんを買ってたのに、もうドロドロに溶けてしまってたそうだ。

溶けていても先輩の優しさは充分に伝わってきた。

最後(あした)の前に思う存分先輩との時間を過ごした。

後は明日をやり切るだけ。

<さっきっぽんで さぁ 一本!>

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