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バイト先に変な奴が来た

「ここで・・・ここで働かせてくれ!」



バイト先に変な奴が来た。

突然店内に響き渡った声が、皆の注目を集めている。

小さいけれど、力強い声。



「こんな心揺さぶる経験は初めてじゃ!わしの求めていたものがここにある。お願いじゃ!なんでもする。ここで働かせてはくれんか」


その男は入店するなり、生まれて間もない小鹿のように目をキラキラさせながらあんぐりとして、ひとしきり時間を過ごした後、目に涙を浮かべながら大きな声で働かせてくれと訴えてきたのだった。




第一印象は、ちょっとヤバい人。

しゃべり方は変だし。

良い年のおじさんだ。


彼の歳は、おそらく30代後半。

中肉中背。

短髪で清潔感はあるものの、どことなくくたびれたなで肩。

よくいる普通のサラリーマンといった風貌でありながら、なんかミスマッチなしゃべり方。


名前を、アルトゥーロ・ソサ・アルデバラン、というらしい。


え?

うそでしょ?


外見は純日本人なのに、名前は思いっきり外国人。

何かの罰ゲームかこれ?


明らかに怪しい。

怪しすぎる。


極めつけは、自身を別世界から来た転生者とか言う、いわゆる電波野郎だ。

転生者なんてワード、アニメか小説の中ぐらいしか存在しない。

まさか、自分がこんな場面に出くわすなんて。


ありえないことづくしだ。




それでも店長は、「こんな情熱的な人は久しぶりだぜ・・・!採用!明日からきてよ!」とか何とか言って、この電波おじさんと意気投合してしまった。


別れ際にはガッチリ握手なんか交わす始末。


店長いわく、「まぁ、いろいろ気になる所は多いけど、嘘は付いてないみたいだね。ここで働きたいっていうのは、本当みたい。良いじゃないか!面白くて!」とのこと。


懐広いよ。

広すぎる。


うちの店長に人を見抜く力があるのは間違いないのだけれど、ちょっと待ってくれ。

出自も名前も怪しいとこだらけの彼を、面白いの一言で片付けて大丈夫なのだろうか。


確かに、アルトゥーロと名乗る彼の言葉には熱がこもっていて、

そこだけ切り取れば妙に説得力を感じた。

うちも人手不足だし、実際にバイト募集もかけている。

やる気のある人物を雇うのは良いと思うけれど、相手は電波ビンビンの中年男性。


普通だったら雇わないだろこんな人。

俺は反対だ。


こんな人と一緒に働くなんて不安しかない。

これから先、上手くやっていけるのだろうか。


ヤバい人、という印象は結局終始抜けはしなかった。

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