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偽物の魔法少女、捕まるようで。

4

「どうだ!このスパイダー伯爵の蜘蛛の巣トリングスは!指一つ動かせまい!」

「っ……離して……」

 オレを追ってきたスパイダー伯爵は、幹部を名乗るだけはあり、殴って解決ができなかった。

 むしろ、殴りかかったオレの手に粘つく糸を巻き付けたと思ったら、一瞬で拘束されてしまった。

 というか蜘蛛のストリングスってダサくないか?いや、「ス」を強調していたな…もしかして蜘蛛の巣トリングス?どの道ダサかった。

 しかしダサい技名にそぐわず、この糸は本当に強い。

 魔法少女の力で引きちぎれないのはまずい。きっと本物の魔法少女──さっき出会った魔法少女なんかなら、魔法で解決するのだろうけど、オレはそんなことできない。

 いわゆる魔力はわかるし、それを使うこともできるけど。使い方なんて筋力の増加しかできてない。

 説明書も無しに複雑な玩具を渡されたようなものだ。スイッチのONくらいしかできない。

 というか魔法の杖とかないのか、この体。さっき出会った子は持っていたけど。あれか、妖精から貰うタイプか。

 そもそも変身が特別な手順もなしで出来ているのだ。やはりこの体は魔法少女とは言え、あくまでも偽物ということなのだろう。


「さぁて・・・ここまで念入りに巻けば万が一にも取り逃がしはしまい。このまま連行させてもらうぞ、実験体0号」


 なんて、動けないからとぼんやり色々考えている内に、オレの体は身動きどころか身じろぎすらできない程ぐるぐる巻きにされてしまった。みのむしの気分ってこういう感じなのだろうか。

 しかし、まさか1日も保たないとは思っていなかった。こういうのってもっと段階を踏んだりするものじゃないのか。さらば、オレの自由。そしてようこそ、永遠の忠誠。


 ……いやだなぁ。


 オレの人生はここまでなのか。いや、人生自体は昨日、とっくに終わっていたのかもしれないけれど。それでも、ここまでなのか。それはいやだ。

 悪の組織の尖兵になるのが嫌だと言うより。


 オレの自由が奪われるのが、たまらなく嫌だ。

 例えどんな見た目になり果てても、オレはせめて、自由に生きたいんだ。

 あぁでも、もう無理なんだよな。いいや、眠たいし、もう…諦めよう。


「フラワー・ボム!」

「ぐわああああ!?な、なんだ突然!このスパイダー伯爵のジャマをしようとするのは!」

「正義の花を咲かせる魔法少女!フラワーバッド、ただいま参上!」

「魔法…少女……」

「待っててね、必ず助けるから!」


 オレが意識を捨てようとした時、強い衝撃と、春みたいな温かさが全身を貫いた。

 捨てきっていない、残った意識で衝撃が来た方向を見やると、さっきなんとか逃げ切った魔法少女がそこにいた。

 なんで……自分から逃げたようなやつを……助けようとしているんだろうか。全くわからない。


「ダークマ団、あなたたちの野望は私が絶対くいとめるんだから!」

「させるものか!ダークマ団幹部、このスパイダー伯爵の力にひれ伏すが良い!」


 魔法少女と、幹部が、何か言い争いをしている…。

 だけど、あぁ、駄目だ。


 よく考えれば、改造される前に、意識を失ったりはしていたけど、あれから一睡もしていないんだ。


 もう……オレを、寝させて…くれ……。

 そんなことを最後に、オレの意識は闇に沈んだ。

そろそろ主人公くんちゃんには一旦落ち着いて情報整理とかして欲しいんだけどいつになるんですかね。

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