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はじまり
女の子の声がする。聴き慣れた、そして、もう聴きたくない声。暗くて狭くて身動きがとれなくて。
閉められた扉の向こうで女の子の声がする。どうにか脱出しようと見慣れたその扉を押してみるけど、強い力で押さえつけられているのか、びくともしないんだ。薄暗く狭いこの場所で、僕の涙声が響いている。
ここから出さないつもりなのかな。要らないのなら、最初からそう言ってくれればいいのに。いじわるするための存在なら、僕じゃなくてもいいはずなのに。どうして僕だったんだろう。
ーー僕の力では開かない見慣れた扉が、ふいに消えて目の前が明るくなった。視界が開けた。
しかし、女の子の声はまだ、笑っていた。