理由不明の夢
雲を食べる夢を見たんだ。
それはとっても甘くて、綿菓子のような味がした。
どうしてだろう。
雲って本当は味がしないはずなのにね。
どうしてそんな夢を見たんだろう。
ひょっとしたら、理由なんてないかもしれないけれど。
なんでだか、気になってしまうんだ。
自覚はしていないけれど、もしかしたら、綿菓子を食べたいと思っているのかも。
記憶にはないけれど、もしかしたら、どこかで最近綿菓子を見て記憶に残っていたのかも。
それが無意識に影響したとか?
どっちだろう。
どっちなんだろうね。
分からないよね。
人間の記憶って曖昧だから。
「だから綿菓子を急に作りたいだなんて思ったの?」
「そうだよ」
どうにも分からない事は放っておけない。
そう思った僕は、綿菓子を作る事にした。
つきあっている彼女と共に綿菓子を食べてみると、とても甘かった。
甘いと幸せな気持ちになる。
好きな人と、美味しい食べ物。
何気ない幸せが二つ。
なんだかいい気分になった。
どうしてとか、理由は分からないままだったけれど。
綿菓子が美味しくて幸せだから、それでいいやと思うようになった。