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第89話 バジリスク

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 ラルティーグは地面からアルビノ巨人を2体召喚し、辺りに群がるゴブリン共を蹴散らしていた。いくら俺たちが有能なモンスターであろうとも、無限に湧き出るモンスターを倒し続けろ……なんて無茶だ。どうにかして元凶を潰しておかないと、このままでは俺たちが殺られてしまう。


「ウォオオオオオオオオオオオ!!」


 ラルティーグの召喚したアルビノ巨人は、一度に何十体ものゴブリンを踏み潰していく。ドラゴンに火を吐かれても、ビクともせず。逆にドラゴンの腹に噛み付いてやるくらいには強かった。しかし、その分ラルティーグも体力を消耗している。巨人2体を召喚しているんだ、これは仕方ない。


「ハル、ラルティーグを保護しつつ戦えるか?」


「注文が多いね! 頑張るけどこっちも大変なんだ」


 ハルは遠くの方でラルティーグを守りながら、進撃するジオンガルムと戦っている。ジオンガルムは前に倒したことがある、デリーシャと共に森の中で。あの後にラルティーグが起きたのを見るに、その時のジオンガルムも魔王かラルティーグが仕掛けたものなんだろうな。


「頼んだ、光の巨人はどうする?」


「彼でも作戦の概要を知らされていないんだ、ここはボクたちでどうにかするしかない」


 ジャッカルとハルが脳内で会話を続ける中、光の巨人の手が少しづつ動き始めた。指が軽く動かすだけで衝撃波が発生し、近くにいたモンスターは巻き込まれて吹っ飛んでいった。もはや魔王に仲間とかいう概念はないんだろう。


「……待って、ラルティーグが何かを話している。少しだけ待って」と、ハルがモンスターから逃げ惑いながらも彼の声を掴んでいた。


 俺たち全員が脳内で会話できる訳じゃない、俺にはさっきからハルとジャッカルの声しか聞こえない。反対にサーベルトにはマサカリとフィールドの声しか聞こえないんだろう。それは一緒にいた期間が関係してくるのか、生まれた順番が関係してくるのか。とにかく、ラルティーグは誰の声も分からないはず。


「彼はこう言っている、『エネルギーの元を破壊して、放出を防ぐ』って。アルビノ巨人を操って、火山と島を完全に封印するつもりだ。できるかは分からないけれど、これに賭けるしかない。ボクは3人に作戦を伝えるから、ジャッカルとエルドは光の巨人の注意を引きつつ、補佐して!」


 ハルは脳内で俺たちにそう伝えた。これといって、上手い作戦なんて思いつくはずがない。だからラルティーグの考えた作戦に全てを賭けるしかない。俺はジャッカルと協力して、エネルギーと溶岩を噴出し続ける火山へと向かった。


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 噴火の勢いは収まらず、エネルギーと共に何百回 個もの岩石が島に降り注いでいる。俺とジャッカルはそれを避けながら、何とか火山の近くに辿り着いた。ラルティーグはハルと一緒に後で来る、それまでに周辺を片付けて塞ぎやすい状態にしなければ。


 しかし、シンカも作戦に勘づいたのか、ウネウネと動く白と黒のモンスターを俺たちの元に送ってきた。触手のようなものを持ち、体をしならせる……何だ、こいつは。こいつだけ見たことがない、いやどこかで見たこともありそうだが。


 そう考えているうちに、その白と黒のモンスターは合体し、また大きくなった。人の8倍ほどの大きさを持つ紫色のモンスターは、触手を剣や槍の形に変化させ、俺たちの目の前に立ち塞がった。


「何なんだコイツは……」


「分からない」


 本当に何も分からない、魔王が召喚したモンスターってこと以外は名前も分からない。能力は見た感じで察せる、スケルトンのように体を武器に変化させられるんだろう。しかし、個体同士で合体し、色を変化させるモンスター、ますます理解できない、一体どの種なんだ。


「なるほど、別の諸悪の根源か」


 と、急に、目の前のモンスターが言葉を発した。俺たちと同じ言語を扱うモンスター、ということか。魔王とラルティーグ以外で言語を扱うモンスターはいない、つまりこいつも重要な役割を持つモンスターなんだろうな、魔王の側近とか、儀式に必要なモンスターだとかで。


「諸悪の根源とは何だ?」


「私達にも聞かされていない。時空の歪みで記憶も曖昧だ。しかし、貴様らが反逆の意志を持っているのは分かる。私達は貴様の意志を奪って、元の生活に戻してやる。元の、魔王に従う私達の同族として」


 やっぱり、魔王の側近か何かだろうな。しかし、コイツらも魔王に何も聞かされていないのかよ。魔王は他人を信じることができないのか、側近や部下としてモンスターを生み出す割には、作戦や儀式の詳細を伝えてはいない。ラルティーグにも、目の前にいるウネウネとした気持ち悪いモンスターにも。


「……お前の名前は何だ」


「私達は”バジリスク”と呼ばれているらしい」


「分かりやすい名前だ、食らえ」


 そう言ってジャッカルは、バジリスクと呼ばれるモンスターに向かって剣を突き刺したが……効かなかった。攻撃を丸々吸収されたみたいで、剣はいとも容易く折られ、ジャッカルの手までもがウネウネと動く体に巻き込まれてしまった。


「私達でも状況が分からない、ただ私達に向かってくるのは敵だ」


 ジャッカルをバジリスクの体から引っこ抜こうとしても、ビクともしない。剣を刺して穴を開けようにも、その剣もまたバジリスクに折られてしまった。ジャッカルの手は紫色に変色していく、このままでは命が危ない。


「抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ抜ッ」


 グチャ……






「間に合ったか」


 バジリスクは、突如現れたアルビノ巨人に踏み潰されて消滅した。紫色の体は蒸発し、そこには折れた剣が2本だけ、何もかもが消滅していた。ジャッカルの手はもちろん無事、アルビノ巨人が上手くバジリスクの体を踏み潰してくれた。


 アルビノ巨人を操れる人間はこの中でただ1人、ラルティーグだ。ラルティーグが助けてくれた、良いタイミングで。


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