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第71話 モンスターの正体

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「私は新たな生命体を生み出した、現在は人間に"モンスター"と呼称されてる、全知全能の存在。これも生命の石で生み出したのだ。私は神の域にまで達していた、人間でもできないだろう、新たな生命体を生み出すなんてことは」


 モンスターを生み出したのは、魔王だったのか。ゴブリンもスケルトンもオークも、巨人も炎の巨人もゴブリンの王も、ジオンガルムもマーナガルムも、スノットリングもリザードも何もかも、魔王が生命の石を使って生み出した存在なのか。


 何だか頭が痛くなってきた。途方もない、あまりにも現実からかけ離れた話だから。人間が生まれた話はまだ理解できるけど、人間を何回も絶滅させた話とか、神を殺した話とか、そもそも観察者って何だよ。この世界を見守る神って、そんなもの本当に存在するのかよ……となる。


 ダメだ、理解しようとしても頭が追いつかない。


「元々は"モネオ"と呼称していたが、あえてモンスターと呼ぼう。私はモンスターを生み出したが、それは不完全であった。同族同士で争い合い、下手すれば絶滅する種もいた。それでは人間と変わりない。そこで私は真実を知った」


 また場面が変わり、今度は魔王らしき男が隕石を降らせている様子が映し出された。大量の隕石が降り注ぎ、この星にいる生命体のほとんどが絶滅した。もちろん、魔王の生み出したモンスターも、石を持っている人間も、何もかも。残ったのは、深海に暮らす生命体と魔王のみ。


 燃え盛る大地の上に魔王が立っている。海も赤く、空も真っ赤。地面は燃えていて、所々焦げて黒くなっている。封印をどうやって解いたのかは分からないけれど、モンスター共々人間を滅ぼしたことに大差ない。そんな魔王は……眠りについた。


「モンスターと人間を滅ぼした私は、深い眠りについた。目的を達成したからだ、しかし人間はまた生まれた。またもや賢者らしき男が石を持って私を封印し、文化が発展した。コミュニティを全て滅亡させたはずなのに、人間が立て直すのに時間は必要なかった。そこから千年は封印されていた、何も対処法が思い浮かばなかった。が、とある真実に気づいたのだ」


 またまた場面が変わり、今度は特殊なモンスターを生み出している様子が映し出された。この世界にモンスターはまだいなかった、理由は簡単。人間と同じように他種族を襲う生命体と化したから。でも魔王はまた違った考えを持っていた。じゃないと2回もモンスターを作ろうとは思わないはず。


「私は仲間を作った。私だけで計画を遂行しようとしたが失敗した。だからこそ、信用できる部下を作り、共に世界滅亡を目指すことにした。モンスターはあくまでも足枷の道具に過ぎん。今度はモンスターにもとある要素を加え、同種族での争いを抑えた」


 そう言って作り出されたのは、黒色と白色の2体のモンスター。ウネウネと奇妙に動く様は、とても見ていられない程に気持ち悪い。触覚のような、またはスライムのような不思議な体を持ったモンスターは、魔王と同じように封印されてしまった。やはり姿が奇怪、モンスターだし人間に恐れられたんだろう。


「名はバジリスク、混沌を意味するモンスターも、結局は人間に封印された。私と同じく、人間に恐れられる存在だ。そこで私は本格的に、人間と同じような仲間を作り上げた。敵である人間から学んだのだ、この世界を滅ぼすのは私ではない、人間だ」


 そう言って作り出されたのは、人間に近い見た目をした男だった。目も耳も2つあって、口も鼻も1つしかない。人間に近い見た目だけど、人間じゃない。それにしても……少しずつ、どこかで見たことのあるような見た目に変わってきている。これって……もしかして?






「ラルティーグ。貴様は私に作られた、偽りのモンスターだ。人間に最も近い見た目と、人間に最も近い思考を持った、人間に最も近いモンスター。世界を滅ぼすためだけに作られた生命体だ」






 真実を聞いたラルティーグは、その場で発狂した。魔王の足元で、うずくまったまま。自身がモンスターと告げられたショックは大きい。しかも、話はそれだけじゃない。ということは……俺も人間じゃなかったのか。ジャッカルもハルもここにいるみんな、モンスターだった。


 俺はずっとモンスターを憎んで生きてきた。炎の巨人に家族を殺された時から、それが偽りの記憶だとしても、バーンズ村が炎の巨人に襲われたのは事実。ラルティーグが炎の巨人を生み出した張本人だが、それでもバーンズ村が消滅したことに変わりはない。ルイさんの家族が亡くなったのも、バルパーが破壊されたのも。


 その俺が、実はモンスターだったなんて。モンスターは魔王が人間を滅亡させるために作られた道具であって、バジリスクとラルティーグは魔王の部下として、仲間として作られたモンスター。あんな奇妙に動く化け物と俺が……等しい存在なのか。


 くっそ、どうなってんだ。


 俺の話はどうだっていい、もう架空の人物であることに変わりはないんだから。だとしてもラルティーグ、アイツはずっと魔王に怯えている。世界滅亡が真の目的だと分かった今でも、怯えながらも部下になろうと必死にしがみついている。もちろん魔王には拒絶されているが……アイツの思考が全く読めない。


「貴様に人間に最も近い感情を与え、人間社会に溶け込ませた。人間と同じコミュニティで働いている様子を観察していると面白い。私も暇だからな。同時に貴様には役割を与えた、モンスターの制御係だ。同種族での争いを止める役割、こうすることでモンスターも人間と対抗するようになった。そうすれば、人間対モンスターの構図が出来上がり、一層滅亡までの時間、私も楽しめることとなった」


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