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第68話 世界滅亡の儀式

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 周りを見回してみると……そこには7人の俺がいた。全員同じ格好をしていて、全員同じ顔をしていて……何がどうなってんだ。全員、左手に傷を負っていて、右手からは血が滴り落ちている。顔には何発も殴られた跡があり、とても痛そう。


 それで、とある別の俺を円状に囲むようにして、俺を含めた7人の俺が立っている。とても奇妙な構図だ、ここには俺を含めて8人の俺がいる。何を言っているかどんどん分からなくなってくるが、それよりもさっき「5年経ったぞ」と言われたな。それも、真ん中で皆に囲まれている彼に。


「……目覚めたか、ラルティーグとなり損ない共め」


 口を開いたのは、中央で皆に囲まれている奴。ラルティーグとなり損ない共って……俺たちのことか。なり損ない、ラルティーグが生み出した架空の人物のことなんだろう。勝手に生み出されといて魔王とかの戦いに巻き込まれて、こっちだって迷惑しているのに。


 全員同じ顔をしていて、誰が誰なのか分からない。ここにいるのはラルティーグと、ラルティーグから生み出された架空の人物達。ラルティーグ・俺・ジャッカル、ハルはいるとしても、残りの4人が分からない。ネオルはラルティーグに殺されたと聞いていたし……じゃあ、彼らは誰?




「まずは自己紹介と軽く説明をしよう。私は魔王、またの名を"シンカ"だ」




 魔王と名乗った奴は手を大きく広げ、紫色に光る煙を手のひらから地面に向けて発射した。何もない平原にいた俺たちは煙のせいで何も見えなくなった。晴れて辺りが見えるようになった時、中心にいたのは……変わらず奴だった。


「失敬、自己紹介のつもりだったが誤って煙を出してしまった。しかし君たち……一部は見たことがあるだろう、教会に封印されし私の石を。私は復活を遂げたのだ」


 5年が経ったとかよく状況が飲み込めていないのに、それに追加して魔王が復活したとの情報も入ってきた。しかもよりによって、魔王は俺の目の前にいる。その上、俺の姿をして。ラルティーグの姿をしている……と言った方が正しいのか。


「テメェ……容赦しねぇぞ!」


 ジャッカルらしき人物は腰からナイフを抜き、それを魔王の心臓に刺そうとしたが……敵わなかった。見えない壁があったようで、ナイフの刃は空中でへし折られてしまった。その上、ジャッカルはウネウネと自立して動く草木に絡まれて、身動きが取れなくなっていた。


「この横暴さはジャッカルだな、ここで消してやりたいが、ガーゴイル計画に加担したといっても過言ではない。治安兵士のリーダー暗殺に協力してくれてありがとう」


 シンカと言うべきか魔王と言うべきか、どちらでもいいのか分からないが、奴の操作する草木によってここにいる皆が動けなくなってしまった。ウネウネと動く太い樹木は、俺たちの足に絡みついていく。蹴破ろうにも、硬すぎる。


「さて、なり損ない共に自己紹介の時間を与えている暇はない。名前は"世界滅亡の儀式"終了後に各自で言い合え。その前に、ラルティーグ。貴様に言うべきことがある」


 ラルティーグと思われる人物は、魔王の操作する草木によって無理やり魔王の近くまで引きずられた。彼は声を出さないように号泣している、一体何がどうなったんだ。5年が経ったとか、何がどうなったかも教えてくれないし、よく分からない。


 確か、俺はラルティーグから体を奪うために、ハルとジャッカルと共にラルティーグと戦った。しかし奴の精神は図太く、左手だけを奪われて殴られまくった。顔面は傷だらけで、記憶すら失いそうなくらい。それで奴に体を奪われたかと思ったら、プツン……と聞こえて。そのまま目を開けたら、魔王に「5年が経った」と伝えられた。


「ラルティーグ、貴様は私の側近として戦い抜いてきた。人の石を与えて二大賢者から石を奪うように命令したが、貴様は無視した。正確に言えば、多重人格に苦しめられていたんだろう。しかし、私には関係のないこと。だが部下は大切にする、だからそのままにしておいた……が、貴様は最悪だ」


 魔王は生命の石の力を使って、景色を変えた。場面は変わって、魔王が封印されていた古びた教会の中。ネオルが触りに行き、またラルティーグが魔王と謁見した場所。今、その教会には、討伐パーティーと見られる4人組と、ピンク色の髪をした男がいる。


 石からはモクモクと紫色に光る煙が立ち上がっており、魔王らしき邪悪なシルエットが見える。ピンク色の髪をした男が投げたナイフを軽くへし折った魔王は、教会の外にゴブリンを数十体設置し彼らを追い詰めようとしているが……ピンク色の髪をした男は、謎の力で折られたナイフを復元していた。


「そう、奴が力の石と時の石を完全覚醒させた男だ。計画では、貴様が2つの石を奪い取る予定だった。私は封印されていて外に出ることはできないからな。にも関わらず、貴様は架空の人物に負けた。更に5年間も眠っていたのだ、生命の石の副作用により……雇い主のピンチにも駆けつけずにな」


 ガーゴイル計画の全貌は把握できていないが、自由に動けない魔王の代わりに、ラルティーグが行動を起こさないといけなかった。治安兵士のリーダーを暗殺したのも、ストーズの王……影武者だったけど、そいつを殺害したのもラルティーグ。


 それなのにも関わらず、ラルティーグは別の人格に敗れて、二大賢者を襲うことはできなかった。時の石も力の石も奪えなかったんだ、でも魔王は寛大で処罰することはなかった。なのに……ラルティーグは、5年間も眠ってしまった。そりゃ魔王でも憤慨するよ。


 ピンク色の髪をした男は、ゴブリンの持つ棍棒を銀色のハンマーに、スケルトンの腕を槍に変化させて、封印の解かれた魔王と戦っていた。槍が自身の体に刺さってもなお、また謎の力で体を白く発光させ、傷を修復していた。更に、背後から魔王の心臓を剣で突き刺し、その剣を巨大化させることで……魔王を討伐していた。


「私は2年前、奴に敗れた。分割された力の石と、封印された時の石を覚醒させた男には敵わなかった。加えて貴様の行方は知れず、貴様が復活するまで私は消滅したままであった。しかし貴様が復活した今、私も復活した」


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