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第50話 私と出会った日

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 彼女の言っていたサーディンとは、ストーズのマードックを守る特殊部隊のことらしい。ファーディンは城周辺、セカーディンは城以外の地域、サーディンは強盗とか凶悪な事件の対処に務めているとか。カノンというのは、サーディンの中でも特殊な訓練を積んだ部隊で、治安維持に尽力しているみたい。


 さっきジャッカルが倒した兵士の中にも、サーディンとかセカーディンとかいう奴らは含まれていたのかもしれないな。どちらにせよ、倒したことには変わりない。


 それで今はサーディンから逃げるために、彼女と共に屋根の上を飛び回っている。体を動かしいるのはジャッカル、彼なら治安兵士から奪ったガジェットを使って戦えるし、誰よりも身軽。


「で、サーベルトって誰だ?」


「貴方の本名、サーベルト・ヘロドトス。今はこれで充分でしょ」


 サーベルト・ヘロドトス、ここにいる誰かの偽名だったりしないのか。俺はもちろん、ハルもネオルも心当たりは無い様子。だとしたら、過去にストーズに行ったことのあるジャッカルが、何かした時にその名前を名乗ったか。


「いいや、俺じゃない」


「……誰と喋ってるの?」


 疑問を持った俺に向かって答えてくれたジャッカルだが、他人からすれば1人で話しているようにしか見えない。突然独り言を発したジャッカルを、彼女は怪しんで見ている。


 多重人格ってことが判明してから、周りとの交流を避けてきたが、思い返せばそうか。周りからすれば奇妙なことになってるんだろうな。頭の中に響く声と会話するなんて、普通に考えればおかしい話だ。


「こっちの話だ。それよりお前は誰だ?」


「ミリテア・アインザッツ」


「アインザッツ、今はどこに向かっている?」


「……キャッスル近くに拠点がある。サーディンもそこまでは追って来れない」


 2人は屋根から飛び降り、裏口から入って平屋に身を隠した。中には誰も居ない、ここで身を隠すこともできるけど、近くにはセカーディンと見られる兵士が槍を構えて巡回していた。俺もガラスから覗いてみると、兵士の鎧には星のマークが2つ付いている。星のマークの数で階級を分けているみたいだな。


「……行くよ、サーベルト」


 彼女は平屋の扉を開けて外に出ようとしたが、無理やりジャッカルが止めた。


「いや、15秒後にサーディンの集団が通りかかる。それまで身を隠せ……10秒」


 彼女は「は?」と言わんばかりの表情をしていたが、サーベルトには信頼を置いているようで、扉の鍵を閉めて外から入ってこられないようにした。少しすると兵士達の話し声が聞こえた、ジャッカルの言っていたことは正しかったのだ。


「……どうやったらそんなことができるの?」


「感覚」


 ジャッカルはそれだけ彼女に告げ、扉をこじ開けてから外に出た。サーディンの集団は既に別のところで調査を開始していた。夜で暗いこともあってか、黒いローブを着ているジャッカルのことは視認しにくいだろう。同様に、召使いの格好をしている彼女のことも。


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「それで、ここが本拠地か?」


「前までは。今はただの洞窟」


 彼女が拠点と呼んでいた場所に着いたが……本当に何もないただの洞窟であった。マードックから離れたキャッスル近くにある森の洞窟で、確かにここにはサーディンも誰も入って来れないように思える。


 彼女は火を灯して、ある地図を地面に置いた。この地図、見たこともない言語で書かれているが、何を書いているんだろう。地形から察するに、赤い文字で書かれているのはセントリーの情報だろう。だとすると、セントリーの西側にある青い文字で書かれている国が、ストーズか。


「……ストーズの地図だな。それにしても、何故"デーヴァナーガス文字"で書かれている?」


「何故って……貴方の故郷の文字だから。正確には故郷でもないけど、当時の貴方はここを『行ったことのない故郷』って呼んでいた」


 ますますサーベルトの正体が気になる。デーヴァナーガス文字、聞いたこともないし読めない。何でジャッカルは知っているんだ。それに地図には何が書かれているんだ。見たところ、セントリーのツェッペリンとポリスタットとシティストに印が書かれてある。


「各都市にある宝のリストか、シティストに謎の力を持つと噂されている石、ツェッペリンに謎の組織が兵器を秘密裏に保持、ポリスタットに謎の男が怪盗をしている……デタラメだ」


 文字を何故か解読できるジャッカルは、地図を見ながら腰のベルトを触っていた。確かにデタラメが多いけど、1つだけ心当たりがある。そのツェッペリンの「謎の組織が兵器を保持」って、聞いたことがあるな。それに何なら……悪い意味で関わったこともある。


「ボクもそう思うよ、他の2つは聞いたことがないけどね」と、ハルも同じ考えを持っていたみたい。


「俺は本当に義賊をしていたみたいだな。それで……デーヴィーネッドって何なんだ。俺は何も覚えていない」


 サーベルトと呼ばれる男が、デーヴィーネッドという名前で義賊をやっていた。マードックから金を奪って、それらを貧しい人達に分け与えていたんだろう。そこら辺は何となく推測できるけど、何でそれが俺らなんだ。誰もサーベルトという名前でやっていなかった。


 考えたくないけど、考えられるのは……まだ別の人格が潜んでいること。ハルの時もジャッカルの時もそうだった、気づいた時には体の制御権を奪われていた。ハルはまだしも、ジャッカルは最低な行為をした。下手すれば、またあんなことが起こるかもしれない。


 でも、それにしては出てくる気配がない。






「本当に覚えていないのね。なら私と出会った日も覚えていないか……あの10年前の出来事も」


 10年前?


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