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第49話 サーベルト?

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 治安兵士から奪ってきたワイヤーを巧みに使って、ジャッカルはフォギー城近くにある建物を襲おうとしていた。流石に危険だったから止めたが、これがジャッカルの言う提案なのか。確かに暗殺ではないけど、強盗だろ。


「デーヴィーネッドは義賊、すなわち襲われた側の人間を探す必要がある。奴らならデーヴィーネッドの顔を覚えているはずだ」


 ジャッカルはそう説明しながら、窓を突き破って中にいる召使いを捕まえて「雇い主を呼べ」と脅していた。流石に女性相手だと下手に殴ったりはしないのか。そこら辺は改心したのか、前までは派手に巻き込んでいたからな。


 黒髪の召使いは部屋から出て行った、雇い主を呼びに行ったんだろう。この間にジャッカルはワイヤーを回収していつでも逃げられるようにしていた。黒いローブは着ているが、仮面は着けていない、これならデーヴィーネッドかどうかすぐに分かるだろう。俺の素顔がバレるというのが欠点だけど。


 派手に窓ガラスを突き破って侵入したせいで、下の方からは悲鳴が聞こえる。ここは最上階、窓ガラスの破片が刺さった人とかもいるだろう。それは申し訳ない。それに少ししたら兵隊も呼ばれるはず。それまでに何とかしないと。


 幸い日が沈んできていて暗くなっているから、戦闘になってもジャッカルが優勢になる。集中する方向性を敵に向けた状態で戦えば、最悪目を閉じていながらでも勝てる。どこに敵がいて、どういった攻撃をしてくるか、それら全部を予測することもできるし。


 と、ここでハルが叫んだ。


「避けろ!」


 ジャッカルはハルの声と同時に身を屈めた。


 パシュン!


 扉が開いた瞬間、そこからは何故か雇い主ではなく槍が飛び出してきた。ジャッカルとハルの反射神経のお陰で身を屈めたから、何もかすってもいないが……どこから槍が飛んできたんだ。兵士が投げたにしては速すぎる。さっきの兵士はへにょへにょだったのに。


「今更来たって遅い!」


 何と、槍を投げたのは雇い主でもなくさっきの召使いであった。彼女は2本の短いナイフを両手に持ち、何も持っていないジャッカル目掛けてそれらを投げてきた。ジャッカルはすぐさま、机の上に置いてあった厚い本を盾にして回避。逆にそれを投げ返したが、彼女は見事キャッチした。


「お前は誰だ?」


「私はもう優雅に暮らしてるから、ほっといて!」


 そう言って彼女は厚い本の角を、ジャッカルの頭にぶつけようとしてきたが、ジャッカルも得意の反射神経を使って避ける。というか、何故彼女は質問に答えないんだ。「ほっといて」って、初めて会った相手に使う言葉ではないだろ。


「質問に答えろ、お前は誰だ?」


「はぁ? 私を置いて逃げといて今更何言ってんの?」


 彼女は他にも大量のナイフを忍ばせていたようで、腰のベルトから取り出し、次々にジャッカル目掛けて投げていく。その投擲センスも素晴らしく、ジャッカルの避ける先に当たるように投げているせいで、ジャッカルも思うように避けることができない。


 左に避けようとしたら左にナイフが飛んでくるし、右に避けようとしたら右に飛んでくる。机の上に置いてある別の本を盾にしようにも、彼女は本を持つ手を狙ってくるから迂闊に防御はできない。兵士でもここまで戦える人はいなかった、となると……彼女は一体何者なんだ。


「俺は記憶喪失だ、何も分からない!」


 ジャッカルは本を床に落として、彼女にそう告げた。そうすると彼女の攻撃する手も止まった。話を聞かせるにはちょうどいい作戦だろう、誰だって「俺は記憶喪失だ」と言われたら、一旦止まってしまうだろう。ジャッカルの鼓動音が上がっているし、嘘をついているってのは分かる。


「……私の名前も分からない?」


「何も分からない。すまないが」


 そう伝えると、彼女はその場に泣き崩れた。鼓動音も上がっている、それもそうか。彼女の知人らしき人が記憶を失っていて、彼女を襲おうとしたからな。それで……何で彼女はジャッカルを襲ったんだ。


 ストーズは変な国だ。俺の顔を見るなり「デーヴィーネッドだ」とか、彼女も彼女で俺のことを知っている体で話と戦闘を進めようとしてくるし。だから前に立てた仮説の、彼らは肌の色で判別している説が濃厚だ。だって俺もネオルもハルもジャッカルも、誰もストーズでこんなことした覚えはないから。本当に記憶喪失でない限りは。


「スキあり!」


 彼女は短いナイフを手にして、ジャッカルの首に傷を入れようとしていたが、流石のジャッカルの反射神経を前に敗れた。彼女はジャッカルに手首を掴まれて動けなくなっていたのだ。さっきの鼓動音の上昇、あれは泣いているからではなく、嘘をついているから上昇したのか。


「何者か答えないなら、今ここで腕を折るぞ」


「やめてよ、"サーベルト"……嘘つかないで」


 彼女は手首を掴まれているのにも関わらず、ナイフを逆手にジャッカルの顔を切ろうとしていた。流石のジャッカルでもつい、彼女の手を離してしまった。しかし、こんなことになるなんて、彼も思ってなかっただろうな。こんなに苦戦してるジャッカル、見たこともない。


 ところで……サーベルトって何だ?


「事情を説明するから、まずはここから逃げて。じゃないと"サーディン"が来る」


 そして……サーディンも何だ?


「いいから、ファーディンもセカーディンも厄介だけど、サーディンのカノンは精神的苦痛だから」


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