第41話 ジャッカルの謎
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ここからは、ジャッカルの謎を解明するターンだ。今までは俺の討伐者としてのケジメを付けるターンだった。とりあえず、ジャッカルの謎を4人でまとめることにした。
まず、依頼人の謎だ。
何者かがジャッカルに、治安兵士のリーダーとストーズの王の暗殺を依頼してきた。それで治安兵士のリーダーは何故か死んでいた。これはよく分からないけど、ストーズの王がまだ残っている。ジャッカルが王を殺しに行くかは別として、依頼人が誰か分かっていない。依頼人の身元を特定しないと。
「ジャッカルは過去に、誰かの依頼を受けて遂行したことがある?」
「.......何度か、その依頼人じゃなく別の人だが。資産家を殺してほしいとか、自分の父親を殺してほしいとか。全部遂行したはずだが」
やっぱりやっていたか。初犯じゃないのは何となく、行動から見て察せた。ツェッペリンで治安兵士のタワーを襲った時も、的確に誰をどう殺すかを見極めながら戦っていた。暗殺にしては表立っていたが。
「過去の行いは防げないけど、これからの行いは防げる。それに今はボクらがいる。依頼人の謎を暴きつつ、何故依頼人が治安兵士とストーズを狙うのかも調べないと」
依頼人は、ストーズの王と治安兵士のリーダーの暗殺を依頼していた。共通点はある、それは両方ともストーズが関わっているというもの。王はもちろんのこと、セントリーが立ち上げた組織である治安兵士にもストーズが関わっている。というか、乗っ取られていると言った方が正しいか。
バーンズ村の若手も、セントリーの新事業だと称して連れて行かれた。彼らは仕事だと思っていたはずだが、実際は奴隷のような扱い。そこら辺についても調査しなくちゃならない。ストーズに恨みがある人物なら、ある程度特定できそうだ。
だったら、まずはツェッペリンに行って、治安兵士の調査を始めるか。またはポリスタットに行って、依頼人の調査を始めるか。思考は4つでも、体は1つ。どっちが決めなきゃいけない。同じ国内でも、ポリスタットとツェッペリンは結構距離があるから、優先順位を決めないと。
「治安兵士の調査は終わっている。俺が武器を盗み出す時に、全て調査した」
仮にも、ジャッカルは治安兵士の武器を盗んだ男だった。ディブル城の構造も理解していたし、そこら辺は上手くやっているんだろう。何せ用意周到だからな。
「.......能力のお陰かは分からないが、記憶力が良い。だから治安兵士が裏で繋がっている組織とかも、大体把握している。警備が強化された治安兵士の本部を狙うよりも、繋がりのある組織を叩いた方がまだ楽そうだ」
なら、ジャッカルの言う通りにしよう。
「ポリスタットで開催されていると噂のパワー・コンテストで、治安兵士との秘密の取引がある。エルドが内容を聞いたら驚くと思うが.......モンスターと人間を戦わせる競技場みたいなものだ」
パワー・コンテスト、聞いたことがない単語だ。でもジャッカルが知っているということは、やっぱり裏で行われている、闇の人間しか知らない秘密のイベントなんだろう。
内容も酷い、人間とモンスターを戦わせて、それを楽しむ人間がいるってことだろ.......こっちは命懸けで討伐しているのに、裏で金儲けのために使われているのか。こういう話を聞いていると、ますます治安兵士が許せなくなってくる。暗殺という手段を使わずに、表立って訴えたい気分だ。
「どちらにせよ、目的地はポリスタットで決まりだ。移動方法はどうする? 走るか、ワイヤーを使うか、大人しく稼いで車を使うか。川を下るとかいう方法もある、オススメはしないけど」
ハルが挙げた4つの選択肢の中で、1番まともなのは車を使うもの。でも、長距離を移動するには、大金が必要になる。その次にワイヤー、戦闘地帯からワイヤーとエアークッションは回収できたけど、ワイヤーを引っ掛けられるくらいの高さを持つ建物なんて周りにない。
川を下るといっても、船を新しく作るのは難しい。専門知識も無いんだし。残されたのは徒歩、だけどこれも困難な道を歩むことになる。スタミナ面で言えば能力があるから何とかなる。疲れても交代すればいいから。でも、ずっと平坦な草原であるとは限らない。ここは大人しく、大金を稼いで車を使った方が良さそうだ。
「それなら、認定士のいる都市近辺でモンスターを狩ろう。エルドの体で申請すれば金も貰える」
今はバーンズ村の跡地、ここからならガーディアが1番近い都市だな。それに、ガーディア所属の討伐者は少ないから、ゴブリンとかも狩り尽くされていないはず。フリーの討伐者が討伐していたら厄介だけど。
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結局、俺たちは車で移動することになった。調教済みのモンスターが交代交代で荷台を引っ張る車に乗って、ポリスタットの隣のシティストまで向かった。
ガーディアとバーンズ村のちょうど中間に位置する森で、俺はゴブリンを4体討伐した。それも能力を使って、できるだけ傷を付けないようにしながら。押し倒したり首を絞めたり、顔面を殴り続けたりすると、ゴブリンは簡単に白い液体を吹き出して倒れる。
それをそのまま、認定士のいる場所まで持っていけば金が貰える。買取価格はそこまで高くなかったが、ポリスタットまで移動する資金としては充分。何せ車は便利な移動手段だけども、モンスターが関わっているから、使う人もそこまで多くない。上級階級の人達は、別の動物の引く車に乗っているし。
それで車に乗ってシティストを訪れた時、ネオルが外に出たいと言ってきた。
「お願い。僕も寄りたい場所がある」
なるほど、それなら.......と、俺はネオルに制御権を渡した。彼が外に出るのは久しぶりだそう。俺が多重人格を自覚してから、ネオルが外に出て体を動かしているところを俺は見たことがない。だから、ネオルがこうやって歩いているのは、めちゃくちゃ貴重だ。
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