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第33話 討伐者の俺

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「少々、荒い方法でも仕方ないな」


 ジャッカルは近くにあった仮面屋から真っ白な仮面を奪い取り、それを身に着けたまま城の方へ向かっていった。非常に目立つ白いレンガで作られた、王の住処でもある城。ディブル城という名で、エボリュードに所属していた時は、モンスター討伐の証を貰いに何度か行ったことがある。


 つい最近も行った、ジャッカルのせいで。


 治安兵士のリーダーが滞在している期間に、ジャッカルが城を襲った。暗殺するとかいう名目で城を爆破し、治安兵士のリーダーを殺しかけた。あの時はもの凄く恐ろしかった。今でも恐ろしい男であることに変わりはない。


 それで、どうするつもりなんだ。顔を隠すために仮面をしたのは分かるが、モンスター用の剣と盾は武器屋の屋根の所に置いて行った。避難誘導するためにディブル城に向かうのは分かるとしても、どうするんだ。


「決まっているだろ、脅す」


 やっぱり、並大抵の作戦ではなかった。常識外れ、悪く言えば頭がおかしくなりそうな作戦だな。脅して何になるんだ。また暴力で解決しよう……とでも言うのか。


「王は一般市民を城に入れたがらない。だが構造的に言えば、住民は全員入るように設計されている。だから『入れろ』と言いに行くだけだ」


 この作戦はダメだ……と言いたいところだけども、他の作戦が思い付かない。確かに王の城は警備が固く、兵隊もたくさんいる。ゴブリンやオークといった遠距離武器を持たないモンスター相手なら、遠くから投擲武器で倒すことができるはず。問題はスケルトンだが……とにかく、王の城は安全だ。


 このまま黙って住民の死を見過ごす訳にはいかない。それなら、ジャッカルの最悪な作戦を遂行するしかない。他の道を模索している時間は無さそうだし。


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「バルパーの王、ドズラ・オンリー。大広場の扉を開けて市民を中に入れろ、さもなければ痛い目に遭うぞ」


 ディブル城の最上階に彼らは居た。潜入は容易く、ジャッカルの持つワイヤーと特殊な爆弾を巧みに使って簡単に入ることができた。やはり扱いが慣れているな……あんまり褒め言葉じゃないけど。


 それで、彼らはモンスターが襲撃して来ていることを知っていながらもボードゲームをしていた。ここから大剣・フレイアを持つスルトの姿も見えるのに、呑気に側近と遊んでいたのだ。どうやらスルトが襲うのは一般市民だけだと思っていたらしい。


「犠牲になるのは私ではなく、一般の民だ。私は関係ない。城を破壊しに来た暗殺者が、今更何をしに来た!」


「そんな訳ないだろ。スルトは全てを焼き尽くす巨人だ。お前も死ぬ。だから選ばせてやる、このまま何もせずにスルトに燃やされるか、拒否して俺に殺されるか、広場を開放して市民を中に入れるか」


 ジャッカルは王の首を掴んで、ナイフを彼の首筋に当てた。流石の王も慌てふためいて、もがいている。側近や兵士は槍を構えているが、それにジャッカルは慣れているのか、脈はいつも通り。普通の口調で、普通に脅している。


「それで、お前は何が目当てか? 私の財産か? 何が欲しいんだ」


「いいや、市民を城の中に入れろ。そして都市にいる討伐者に命令を出せ。『周りにいるゴブリンを討伐しろ』ってな」


 ジャッカルは頷いている王を離し、近くにいた側近に命令した。流石にバルパー存続の危機を感じていたのか、側近は冷静にジャッカルの命令を聞いていた。槍を持っている兵士達は、無防備に立っているジャッカルを捕まえずに、王を助けに行った。


「AからD区間まで人を入れろ。病人はE区間なら。子供を優先するんだ。最悪、大人には対モンスター用の剣を持たせろ、王が思っている以上に市民の力は強い。それと討伐パーティーと討伐者を至急集めろ、村の周りにいる雑魚敵を討伐するよう頼め。断ってもやらせろ」


 それだけ側近に伝えて、ジャッカルは城から飛び降りた。ワイヤーがあるから、落ちても無傷だ。ワイヤーを伝って大広場に降りたジャッカルは、早速大きな門の鍵を割って開けた。


「子供と病人優先で中に入れ、討伐者は剣と盾を持って外周にいるゴブリンらを討伐しに行け!」


 大広場を開放したことにより、門から大量の市民が押し寄せてきた。ジャッカルの言うことを聞いて子供を優先する者もいれば、言うことを聞かずに我先に中へ入ろうとする者もいた。が、ジャッカルはそれを見逃そうとはしなかった。


「お前、元気があるな。どうだ、モンスターと戦うか?」


 子供を突き飛ばして中に入ろうとする、自分勝手な男の腹に拳を一発入れ、そう耳元で呟いた。効果があったようで、彼は子供に謝り隅の方へ向かっていった。真っ黒に染まったローブと白い仮面をした男だ、言うことを聞かないと殺される……とでも感じたんだろう。


 ジャッカルの努力と、側近の避難誘導により、少しずつ統制が取れてきた。ここはもう彼らに任せても安心そうだ。しかしバルパーの人口は多い方だ、村とかじゃなくて都市だから。動けない病人も残っているかもしれない、討伐者の一部はゴブリンの方へ向かったが、俺たちも何とかしないと。


 ドーン……!!


 と、突然。東の方から巨大な爆発音が聞こえた。爆発音のせいで皆またパニックに陥り、場の統制を取るのが困難になってきた。しかも東の方となると……確か、ルイさんがあそこの方で暮らしていたよな。


 流石に避難できているはずだが、爆発が起きたとなると、モンスターがもうそこまで来ているに違いない。それに、誰も居ない所をモンスターが爆発させる訳がない。つまり、あそこには誰かしら残っている。


 ここは……討伐者である俺の出番だ。


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