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第28話 踏み潰された村

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 ハルの提案を拒否する者は誰もいなかった。

 あのジャッカルですら承諾した。


 ということで、まずは俺の目標を達成するターン。やるべき事は、まずバーンズ村を襲ったモンスターの大群を討伐する。それでルイさんにそれらを伝える。そして討伐支援金を受け取るなりなんなりして、金を手に入れる。そうすればポリスタットへの移動資金にもなるし、調査の範囲が広がる。


 すべきことは、現地の調査。バーンズ村がモンスターに襲われた時、ルイさんは都市の方にいた。そこで村長が傷だらけで運び込まれてくる場面を見た。だから誰も村がモンスターに襲われている様子を見ていない。となると……特定が難しい。


「いいや、村長はある漁師に運び込まれたと言っていただろ」とハルが教えてくれた。


 確かにそうだ。傷だらけの人が1人で歩いて都市まで行くなくてことはできないからな。となると、ある漁師というのを探した方がいいのか。でも、ガーディアは海に面していて、国の中でも漁業で栄えている都市だ。漁師だけで何百人いるんだろう。


「なら、破損した家具の形状からモンスターの種類を特定しよう。ゴブリンとかスケルトンとかなら分かりやすいはず……人間の遺体がベストだけど」


 ゴブリンは棍棒を持っていて、オークは何も持たない。スケルトンは骨を変化させた武器を持っている個体もいる。スルトは炎の巨人で、地面を壊滅させる程の巨大な剣を持っていることが多い。このようにモンスターは武器や特徴から分別が可能であり、破壊された物体の形状からモンスターの種類が特定できる。


 こういうのは討伐者の仕事ではない。でも、都市の役人が代わりに調査してくれる。彼らが調査したデータを元にモンスターの種類を特定し、そいつらを討伐しに行く。だから何となくは覚えている。


「バーンズ村は前にゴブリンに襲われた跡もあるから、集落の方で特定した方が良さそう。ここからはボクも見るよ」


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♢A FEW MONTHS AGO(数ヶ月前)


「これは……恐ろしいな」と、ガイドが呟いた。


 討伐者パーティー・エボリュードとして活動していた時、とある依頼がバルパーから舞い込んできた。それは「ある上級モンスターを討伐してほしい」というもの。言ってしまうと、いつも受けている依頼と同じようなもの。


 しかし、今回は色々と異なっていた。


 まず、その上級モンスターの正体は巨人なのだが、とてつもない程の大きさだった。普通の巨人は大きくても15mくらいなのだが、その巨人は30mくらい。そいつがバルパーの東にある都市・バビロンのセントラル村を踏み潰したらしい。


 そもそも30mの巨人が今までどこに潜んでいたって言うんだ。確か、セントリーの西の方に巨大な樹の森がある。50m近い木が並んでいる、あの場所なら分からなくもないけれど。でもここは普通の森だ。


 30mの巨人のことを、エボリュードのリーダーであるガイドは"シュピース"と呼称した。どうやら彼が昔読んでいた書物に登場するキャラクターが元になっているらしい。俺は知らなかったが、他のメンバーの2人は意味をよく理解していた。


「さて、シュピースをどう討伐する?」


 シュピースの踏み潰した村は一瞬で消滅した。元々そこまで大きくない村だったが、踏まれたことにより衝撃波が発生し、近くにいた人達はそれに巻き込まれて死んだ。衝撃波は恐ろしく、バビロンの端の方まで届いたらしい。


 それでバビロンに所属する討伐パーティー・インジールの全員が怪我を負ったため、エボリュードに依頼が舞い込んできた。仕事は増えたが、その分苦痛も増えた。何せ得体の知れない巨大なモンスターと、4人だけで戦わなきゃいけないから。


 いくら巨人といえども大きすぎる。


 巨人の弱点は背中。弱点も大きいのはありがたいな、ある意味狙いやすい。ただ、弱点は同じかもしれないけど、攻撃力も高いだろう。少し歩いただけでセントラル村を滅亡させたんだから。さて、どうやってシュピースを討伐したらいいんだ。


「いつも通り足を切って、それで倒れたところで背中を切ればいいんじゃない?」と、金髪のシルバが提案した。彼女は頭が良く、作戦を考案するのが得意だ。


「体も固くなっている可能性もある。だからここは投擲武器で遠くから撃ち続けることが大事かも」と、赤髪のレドルラも提案した。彼女は投擲武器の扱いが上手く、特にクロスボウを扱った攻撃が得意だ。


「なるほど、それだったら草原に誘き寄せる必要があるな。投擲武器で気を引いてるうちに、足を切って前に倒す。そこから背中を切れば万事解決だな」と、ガイドがまとめる。彼はこのパーティーのリーダーで、戦闘能力がずば抜けている。


「それで、シュピースは今どこ?」


「セントラル付近を徘徊している。近隣住民は避難させたからか、セントラルの周りをグルグルと回るだけ。都市に向かおうともしない……ほら、見えた」


 モンスターの引く車で向かっている最中だが、ちょうど森を抜けた辺りでシュピースの姿が見えるようになった。本当だった、噂で聞いていた通り、30m近くの巨人が村の近くを徘徊していた。少し歩くだけでも衝撃波が発生するため、森が揺れている。


 こんな巨大なモンスターを、たった4人だけで倒せというのか……無茶だ。


「行くぞ、エルド」


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