【5】閃-カクサレルモノ-
[5]
Q.【―鍵は...何故僕のポケットの中に?】
そんなの決まってる。そんなの。だって鍵は、
A.【かぎは、はじ―パシュン
「...っ!」
瞬間。眩い閃光のようなものが脳裏を過り考えを遮る。
「答え」が言葉になる前に、頭の中から消えていく。
「...なんだよこれ...なんなんだよ...」
僕は、この瞬間からある事実に気が付いていく。この状況の違和感の根底を為すような。
今の自分が置かれている状況の前提のようなものが。この現象には隠されていた。
「おかしいじゃないか...だって僕はこんな鍵の使い道なんて知らなかったんだぞ..。それなのになんで...」
Q.【―何故鍵の使う場所を...僕は理解していた?】
そんなの。...知っているに決まっている。だって僕は...
A.【じぶんが、た―ッパシュン
「...っ!くそ!」
先程と同じ、いやもしかするとそれ以上の閃光が脳裏を覆った。
「...まさか...」
僕はつまらない「日常」を送り続けていた。少なくともここ一週間。
だから毎日考えにふける。どうでもいい解釈を自身に求めて、納得のいく答えを見つけようとして。
でも、そうじゃない。
そうでは。ない。
「僕は...抜け出せていないだけだ...」
「暇」という題材だから。
それがたまたま僕の人生のテーマでは重くのしかかっていたからなんて話じゃない。どんな些細な事でも、どんな命題だって構わない。
僕は、
―ただただ「答え」というもの自体に、辿りつけないだけだ。