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常日-トコロビ-  作者: 白姫真夜
00章
2/5

【2】繰-ムジュン-

[2]

とまあ聞いて飽き飽きするだけの煩悩を持ち合わせた僕だが、割と心持ち穏やかだ。

変にというか謎の違和感を抱えながらではあるのだが、心中その「暇」という病原菌によって煩わされているわけでもない。むしろその「暇」を噛みしめて生きている時がある。


何かが起きないというのはそれだけで素晴らしい事実であり、「暇」とは裏を返せば自分の人生に支障が起きていないとも言える。


だから僕にはそういった暇に対する損得の二面性を抱えながらも、それでも今のこの現状を打開したいという信念があるという事だけは覚えておいて欲しい。出来る出来ないかは問題ではない。そういう気持ちにあるという事だけだ。


願わくば能動的ではなく、誰かの手によって。公的でも私的でも何かのイベントによってこの問題が解消される事を願いたい。僕はただ待つだけだ。いい子に座して。そしてその時が来たら...。


その時が来たら...?


まあとにかく、僕から何か行動をして暇を打開する事なんてあり得ない話だ。


僕には、何も出来ない。だから僕は、何もしない。




僕に答え何て出せない。




放課後の教室で、僕は毎日この問題と向き合う。

ただひたすらに、答えの出ない問題提起に悩まされる。誰が出したわけでもない自分語り。向き合わなくてもいい問題に直面して頭を抱える。

だがそれでいい。そういった時間が暇を埋める。暇が暇を埋め、その暇は時間をつぶしてくれる。

そうすれば日々は過ぎていく。僕の悩まされる問題は解決せずとも終わりを迎える。


安らかな空間の中で切に思う。二面性の話。


「この時間が続けばいいのに」

「この時間が早く過ぎてくれないだろうか」


矛盾した二つの考えが僕の頭をよぎり、そして暇として過ぎ去っていく。

これは皆当然に抱える問題なのだろうか。それとも僕の中に他の誰かが住み着いてでもいるのだろうか。

それとも僕の知らない他の考えが、「答え」があるのだろうか。


分からない。


頭の中で渦巻いて紐が絡み合ってそれらはほどけない。

僕は暇を打開したいんじゃないのか...?


そうだ。その筈なのだ。だからこうして放課後の余生をこんな持論で塗り固めて過ごしているんだ。

「暇」を埋める為に。「暇」を誤魔化す為に。「暇」を「暇」という題材で埋め尽くして日々を過ごす為に。

嫌な人生だ。そんな事を繰り返して何になる。全く持って生産的じゃない。もっと何か行動に起こさなくては。こんな意味のない考えは取りやめて、しっかりと今後の為になる事を考えていかなくては。


行動だ。行動するんだ。...何か。


[1]

極めて遺憾である。いや、退屈である。


僕、高校2年常盤平丈トキワヘイジョウの日常とは、

ぐつぐつと煮詰められたなべ底にこべりついた「青春」の残りかすだ。


まったくもって暇だ。時間を持て余している。

色々な言葉で言い換えて今の現状を現したとしても無駄なくらいには非生産的な毎日だ。


じゃあ何かすればいいじゃないか。とそんなニュアンスの事を言い返してくるのが周りの言い分なのだが、それが出来るのならそもそも苦労しない。出来る人はそもそもそんな思考に行く前に既にその問題を解消してい―


[2]

思考は巡る。僕の中を。繰り返し。

また巡り、去っていってはまた巡り合う。


考えは行動の域を出ない。

だからこそ心地よいのかもしれない。この時間が。それ以上も何も起きないから。

考えているだけで全てが終わっていくから。


だけども、僕の中の何かが叫んでいるんだ。







―『まだ事件は、終わっていない』と。






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