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第一章 第9話 心臓の音
ラルクの去った部屋で、アミィは一人ソファに腰掛けていた。
身の回りの出来事全てを、薄いベールを隔てた向こう側のものの様に感じていたのに、急に世界が色彩を持って目の前に現れた様に見えた。
微かな不安と、微かな希望が心の中でせめぎ合った。
心臓が、鼓動を打っていた。アミィの心の揺れを現して、その音が高まり、速まっていた。
自分の胸に確かな命の脈動を感じて、初めて彼女は、自分が生きていることに気付いた気がした。
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第一章 終