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ある男子学生の思春期的感情の蠢き

作者: 廃界幻夢

「つまりこの世の中はクソみたいなものなんだよ」


 独り言を言う。勿論誰も聞いていない。


 生まれてからずっと一人、誰も味方などいない。味方だと思った人間も、自分を見下していた。

 そんな状態で何を信じればいいのか、何を信じたふりをすればいいのか。


 希望など存在しないと大衆は叫び、希望にしがみつけと大衆は叫ぶ。


 右を見ても大衆。左を見ても大衆。


 僕のような年代になると、自分が歯車に過ぎないということを悟るらしい。

 しかし、世界は出来損なった歯車を廃棄処分にしてくれない。


 出来損なった歯車を嘲り「君は敗残者なんだ」と口々に叫ぶのが彼らの娯楽なのだ。はたまた「君は本当は凄いのだ」と気休め程度の言葉を浴びせ優越感に浸る。


 死にたいのに殺してくれない社会を恨む自分もまたクソみたいな人間なのだろうと考える。


 何もかもを拗らせた人間。それこそ、地球滅亡を空想しながら一人では何もすることができない。


 何もかもが馬鹿げている。自分も、世界も。


 自分は異常者なのだろうか?異常者だと自認する人間が正常であるなら、自分は普通の人間か?


 自分が普通の人間なのだろうか?孤独で、何もかもから嫌われて、離れて、逃げているこのクズな男子学生が?


 そんなバカな事はない。自分は常人でも変人でも異常者でもない。ただの敗残者だ。


 敗残者には敗残者らしい振る舞いが求められるのだ。自分を卑下して振舞ったり、卑屈でいたり。


 そして敗残者の惨めな娯楽。地球や国や成功者が破滅するのを願い、楽しむ。


 なんとクズな事だろう。そんな暇があるのなら、自分を高めればいいというのに。


 しかし僕が自分を高める事などできるのだろうか?できるか?できたのか?できなかったじゃないか。


 できないことをどうして望む。敗残者は敗残者らしく卑屈に暮らせばいいものを。


 そして、敗残者らしい惨めで、惨たらしい死を…




 クラスメイトが騒ぐ。形容できないそれを口々に形容しようとし、パニックに陥る。

 パニックの先を見る。黒く禍々しい渦巻。教室に表れたそれはその姿と裏腹に何も起こらず中央に鎮座している。


 軽蔑の目でいつも此方を見ていたクラスメイトも、この渦巻の前には流石に何もすることもできない。

 渦巻はただそこに鎮座していた。


 この渦巻は破滅をもたらすのか?誰の?自分か、はたまた世界か。

 破滅するなら僕も、世界もひと思いにやってほしかった。


 この渦巻が破滅をもたらさないのなら、自分の生きてきた意味は全くなくなってしまうのだから。

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