表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

熱いときには水浴びがしたいけど、だからって全身浸かりたい訳じゃない

大変お待たせ致しました。

お待ちかねの5話投稿です。


 「……!……!!」


 とても遠いところから、誰かが私を呼んでいる?一体誰が。

 私はもう、誰とも時を同じくしていないのに。


 「……!……キ!シキ!!」


 まだ声が聞こえる。一体誰が呼んでいるんだろう。私を知る人間は誰もいないのに。

 ……そう。私は誰からも忘れられ、一人で生きてきた。人間に知り合いなんて――。

 ん?そういえば、人間じゃない誰かがいたような?誰だ?あれは……。

 そうだ!


 「魔王さん!」


 暗い眠りから覚めると、私は知らない部屋にいた。

 左手が暖かい。魔王さんだ。ずっと握っててくれたのかな。

 私が目を覚ましたからか、その碧い目には涙が浮かんでいる。


 「おはようございます、レイくん」




 

 「全く、何が『おはようございます』だ。本気で心配したんだからな。門を開けた途端に倒れるし、ずっとうなされてるし」

 「だからごめんなさいって言ってるじゃ。『もう大丈夫』『心配掛けないから』」


 ホントは大丈夫じゃないけど、自分に暗示を掛ける。


 「さっきもそう言って倒れただろ?無理すんなよ。まぁそんなに飯食えるなら大丈夫だろうけど」

 「心配してくれるてんですよね?それ」

 「さあな」

 「レイくんのくせに意地悪ですねー」


 二人して笑ってる、なんて楽しいんだろう。こんな朝があるなんて思いもしなかった。

 魔王さん(レイくん)もこんなにも人間らしくなって……やっぱり若い子は成長が早いね。



 「ごちそうさまでした。マスターさんのカレーはホントに絶品ですね。毎週食べたいくらいです。」

 「ありがとうございます。そういえば昨日言っていた遺跡は見付かりましたか?」


 あれ?レイくんなにも言ってなかったのかな。あ、でもなぁレイくんにも何も言ってないから説明しようがないのか。


 「遺跡は見付かりましたが目当てのものはありませんでしたね、中身が空っぽでした」

「……そうですか。スミマセン、私の情報も無駄でしたね」

 「いえいえ、そんな無駄ではないですよ。中身がなかっただけで手掛かりはありましたし」

 「手掛かりなんてあったのか?ぱっと見なにも無かったが」


 手掛かりは確かにあった。私にしか感知できない手掛かりが。

 けど、それはまだ魔王さん(レイくん)にも言えない秘密だ。きっとすぐに分かることだけど、もう少しだけ。


 「では、そろそろ私たちは次に行きますね。お世話になりました」

 「お、おい!もう行くのかよ!スミマセン、ありがとうございました。待てよシキ!勝手に行くなって!」




 「ねぇ、レイくん。オアシスの水ってキレイだよね。この世界のどこの水よりも澄んでいて、水底まではっきり見えるよ」

 「そうだな。俺は海の水くらいしか知らないけど、確かにあれよりは澄んでるな。それがどうかしたか?」

 「うん。多分ね、ここに求めてるモノがいる」

 「は?ここに?お前が探してるのは昨日の"門"だろ?」

 「ちがうよ。"あれ"はただの門であり通路。本当の目的はその最奥に眠るモノ。そしてどういう訳か、その本体がこのオアシスに眠っている」


 レイくんはいまいち分かってないみたい。まぁ仕方ないよね。私も感覚でしかないから断言はできないし。


 「付いてきてくれる、レイくん?」


 少し不安だけど、きっと彼なら手を取ってくれると信じて手を差し出す。だって彼は……。


 「当然だろ。俺はお前の護衛で、願いに応える男だからな」


 だって彼は、こういう魔王()だから!


 「じゃあ行くよ、レイくん!準備はいい?」

 「ああ!」


 その気味の良い返事を聞いてから、私は魔法を唱える。

 久しぶりに唱える呪文、緊張するけどきっと大丈夫。昔は出来なかったけど、今は違う。


 「『世界を満たす水の王、我が命を以てその身を充たせ』」


 今は、私を信じてくれる仲間がいるから!!


 「『世界を呑み込み、我らを汝の(はら)へと誘え』」


 直後、私たちの目を眩いほどの蒼が襲った。





 目を開くと見渡す限りの水と揺らめく太陽。どうやら海の中にいるらしい。呼吸は問題ないようだ。

 他にも、もがき苦しむ生物や愉快に泳ぎ回る骨や遺骸。そして巨大な龍の姿があった。これが星隷の世界か。

 とりあえずは成功したけど、喜んでばかりはいられない。問題はここから。星隷は私たちの話を聞いてくれるか。


 「シキ、ここからはどうするんだ?」

 「とりあえず星隷本体を探しましょうか。力を借りるにしても星隷に会えないとどうしようもないし」


 けど、どうやって探すか。この世界そのものが星隷だから探索魔法はきっと無駄だ。

 明らかに怪しいのは目の前の龍だが、下手に刺激して敵視されるのは避けたい。


 迷って悩んでいると魔王さん(レイくん)が動いた。

 手に力をいれてる?何をするつもりかな?


 「チマチマ考えんのも面倒だ。辺り一帯を消し潰す!」

 「ふぇ!?いやいやちょっと待って。目の前の龍を刺激しないでーー!!」


 制止してももう遅い。既に魔王様は力を解放している。

 巨大な渦潮が全てを呑み込み磨り潰し、最後には私たちと龍だけが残った。


 「な、なにしてんですか魔王さん!!バカですか!龍が起きたらどうするつもりですか!!」

 「何って掃除だよ、見りゃ分かんだろ。それに、この龍が起きないことには星隷と話しも出来ないだろ。それと今のオレはレイな」


 龍を起こさないと星隷と話しが出来ない?どういうこと?門番のようなものか。それとも……?

 まぁなんでもいいけど戦うのは避けたいな~。


 「おっ、目を覚ましたみたいだぞ」

 「え?」



 空気をつんざくような――否、海を震わす号叫が響いた。



 これはヤバイ、龍が起きてしまった。どうする。

 逃げるか?ムリだ、詠唱する時間も与えてくれる筈がない。

 戦うか?ダメだ、龍に挑んで勝てる筈がない。

 気にせず星隷を探す?龍に背中を向けるバカがどこにいる。

 とにかく身体強化を掛けておこう。最悪レイくんだけでも逃がせばいい。


 慌てている私とは対照に、レイくんは喜びを浮かべている。彼は龍の恐ろしさを知らないからそんなに暢気にいられるんだ。

 龍が口を開いた、きっと喰われるんだ。この程度じゃ死ねないのに。痛いだけなのに。


 『なにか騒がしいと思えば、数千年ぶりの来訪者ですか。ようこそ。私の、水の星隷"アケルナル"の中へ』


 え?喋るの?ていうかコレが星隷?

最後まで読んで頂きありがとうございます


感想評価アンチ発言等あれば遠慮なくどうぞ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ